2022/10/16 -愛知・刈谷あいおいホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
丸木 凌介がリングネームを変更した。
天熊丸木 凌介(天熊丸木)。
父の丸木 孝雄が名乗ったリングネーム、天熊 丸木。
中日本のジム所属選手として初めて世界挑戦を叶えた父は引退後、
自身のリングネームをそのまま名称とした天熊丸木ジムを興した。
叩き上げの石井 広三(天熊丸木)を世界まであと一歩のところまで育て上げ、
名トレーナーとしてもその名が語られる。
中部地区の生けるレジェンドの一人。
兄の丸木 和也(天熊丸木)は才能に溢れていたと思う。
しかし、天熊丸木ジムの解散、腰の怪我…タイトル挑戦さえ叶わなかった。
強いだけではチャンピオンになれないのもボクシングの世界。
凌介がデビューしたのは天熊丸木ジムが解散している時期だった。
薬師寺ジム所属としてのプロデビュー。
全日本新人王決定戦まで勝ち進み、初の敗北後に復活した天熊丸木ジム所属となる。
丸木家になかった「ベルト」を獲りに行った。
WBCユース王座、一度目は判定で獲り逃し、二度目の挑戦で戴冠した。
その後も、名門丸木の看板として、この地方の中量級の中心選手として、
ベルトを賭けた戦いに何度も挑んだ。
日本王座初挑戦ははっきりと敗れたものの、その後は紙一重の戦いが続く。
中国ではJBC不認可の地域タイトルにも挑んだ。
日本王者クラスの実力は証明している…しかし、それを得るまでには届かない。
直近の日本王座挑戦では三者三様のドロー。
王座に届かなかったこと以上に、不完全燃焼の色を残した姿が痛々しかった。
家庭を持つようになり、引退の二文字も本人の口から出るようになっていた。
このまま終わるのか…それでいいんだろうか。
決めるのは本人、ただ、外野の杞憂として。
そんな折、タイトル挑戦の報が耳に入る。
WBOアジア太平洋とOPBF東洋太平洋のアジア二冠の王座決定戦。
勝てば世界ランキングも手に入るビッグチャンス。
相手は井上 岳志(ワールドS)。
アマチュア時代に一度敗れている相手だ。
相手を担架送りにする試合を連発していた当時の井上。
要注意の意識が高まっていたのか、丸木との試合では、
押されるようにしてアゴが上がった場面で止められたそうだ。
手ごたえがあった中での突然のストップに納得がいっていなかった記憶。
リベンジのチャンスでもある。
世界まで遠いとされる中量級で世界挑戦まで叶えた井上。
戦前予想は圧倒的に井上有利…当然だと思う。
ただし、メインイベンターとしてや、中日本の中量級のエースとして…
そういった”メンツ”を全て捨てて挑んでいける相手でもある。
負けて元々、丸木が勝てば大アップセットと言われる試合になるだろう。
7月には能嶋 宏弥(薬師寺)がWBOアジア太平洋ミドル級王者になった。
肩書的には追い越された格好だ。
もう、何も考えずに、己の強さだけを示せばいい。
「今日のエキシビジョン、ガチで行くか、盛り上げる方向で行くか考えているみたいですよ」
現在、天熊丸木ジムの会長となった兄の丸木 和也が教えてくれた。
「え!?今日はガチでしょ!!」と返答する。
ミドル級超で戦う4回戦ボクサーの上村 周平(名古屋大橋)との
特別スパーリングが予定されていた。
大舞台に挑もうとする中、凌介を見れるのはこれが最後かもしれないという思いがある。
それだけ、賭けていることは充分に伝わっている。
だから、やっぱり本気の凌介が見たかった。
東京での大一番はスケジュールの都合で見に行けない。
大好きな丸木凌介の戦いぶりを見れるのは、最後かもしれないから。
上村は丸木にタコ殴りにされながら耐えきり、
丸木を大舞台に送り出す役割をしっかり務めきる。
丸木が抱えてきた沢山のモノの中の一つが、上村に受け渡されたようにも思えた。
いつか、上村が丸木と同じ領域へ…そんな思いが沸き上がる。
エキシビジョンの映像はこちら↓
さて、ここでいつもの言い訳前置き。
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
次回からはこの日の公式戦の内容。
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