2022/07/30 -石川・内灘町総合体育館- 第3試合~第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2022/07/30 -石川・内灘町総合体育館- 第3試合~第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 


【スーパーフライ級4回戦】
ビビンバ 利騎(カシミ) vs 山崎 隼人(名古屋大橋)

ビビンバ 利騎 デビュー戦
山崎 隼人 6戦3勝(1KO)3敗 サウスポー


大きく動きながらトリッキーに飛び込んでヒットを奪っていくビビンバ。
クリンチ際に相手をまわしながら右を突き刺し、飛び込んで強打を突き刺す。
近い距離を得意とする山崎が捕まえきれずに翻弄される。


2R、山崎が前に出はじめ、ロープに詰めて右ストレートを撃ち込む。
徐々に山崎がらしさを見せ始めるかと思った矢先、
詰めた山崎に対してサイドに動きながらショートの左フック一閃。

山崎が腰から砕け落ちる。
立ち上がった山崎だが、攻勢を増したビビンバは一気にパンチを纏めていく。

この距離は本来山崎が得意な距離…被弾もあるが…
クリンチの仕切り直しの直後、山崎の左ボディに合わせた左フックのカウンター。
これで山崎、二度目のダウン。レフリーは即試合をストップ。


2R1分51秒TKO


デビュー戦の選手がB級目前の中日本新人王を翻弄。
相手の得意な距離でも上回って完勝のTKO劇。
とんでもないのが出て来たと思いきや、この試合でビビンバは引退とのこと。

そもそも1月にプロになろうと思い立ち、3月にプロテスト合格。
この試合は当初「盛り上げる為だけ」に出ようと思ったとのこと。
これだけ見る者を惹きつけるような試合をしておいてプイッと辞めてしまう。

まさに自由奔放、それもまた魅力に思える。
こういう男がいてもいい…また、気が向いたら。
思い付きでリングに上がってくれる日を楽しみに待っていようと思う。


山崎側からしたらキツイ負けだとは思う。
B級目前の選手がデビュー戦の選手に翻弄された。
ただし…こういう負けから立ち上がった選手こそ、本当に強くなっていくと思っている。

キャリアが長くなれば、こういう試合にぶち当たる。
その先に行くには、続けていくしか、強くなるしかない。
きっと強くなって戻って来てくれる。
そう思って待っている。

 


【スーパーフェザー級4回戦】
高田 力弥(カシミ) vs 西村 翔馬(岐阜ヨコゼキ)

高田 力弥 1戦1敗
西村 翔馬 デビュー戦


高田のワンツーの合間に西村が右ストレートをカウンターで撃ち込む立ち上がり。
待ちの状態から一発当たると左右フックを撃ち込んだ西村。

徹底して撃ち終わりを狙う西村が捉えていく展開だったが、
ラウンド後半、高田のジャブが当たり始めると
至近距離での攻防で高田の右フックが刺さる。


2R、ジャブ、ワンツーの応酬となる。
高田が僅かに距離を縮め、撃ち終わりにしっかり離れる。
西村の拳はなかなか届かなくなる。


3R、フェイントを織り交ぜて先に先に当てていく高田。
時折踏み込んで振るう西村のコンビネーションは迫力のあるものだが数は出ない。
高田が丁寧に被弾を防ぎ、コツコツとヒットを重ねた印象。


4R、積極性を増したのは高田の方。
リターンの一撃を狙ったか西村の手数は上がらない。
高田が位置を変えながら捉える場面が目立つ。

ラスト30秒、ようやくスリリングに撃ち合った西村。
お互いに強烈に捉え合うも、倒すには至らず試合終了のゴング。

マイジャッジ 39-37 高田

公式ジャッジ
39-37×3 高田

 

高田のデビュー戦はたった1Rで敗れたもの。
そのたった1Rの経験の差が大きく横たわった試合だったように見えた。

自分のボクシングを披露することさえ許されぬまま、
右フックを痛烈にもらって試合を決定づけられたデビュー戦。
対してこの試合では丁寧に丁寧に試合を運んで行った。
今年3月の負けをしっかりと糧に変えたように感じた初勝利だった。


対して、前に出た時間はほんのわずかな時間だったが、「撃ち合える選手」に見えた西村。
撃ち終わりを狙うカウンターも良かったが、前に出ても魅力を発揮できる選手だと思える。
まだまだ出し切れなかった魅力があったように思う。
この試合を踏まえての次の試合に期待したい。

 


【スーパーバンタム級4回戦】
渡辺 大和(カシミ) vs 島 史来(トヤマ)

渡辺 大和 8戦2勝5敗1分
島 史来 2戦2敗


いきなりガードを固めて詰めていき、撃ち合いを求めていく渡辺。
いつも通りの渡辺、こうやって相手を激戦に巻き込んで行く。
下がりながらの島が押し込まれているように見える。


2R、より大きく足を使う島、激闘を求める渡辺を捌きにかかる。
渡辺は被弾しながらもロープに押し込み、ボディを削る。
グイグイ来る渡辺の拳もしっかり届くが、島もコンビネーションで迎え撃って顔面を捉える。


3R、より強くプレッシャーをかけていく渡辺。
島も足を使いながら、ロープ際での撃ち合いでは互角以上に撃ち合って見せる。
ラウンド終了間際にはロープに詰められた状態から中央にまで押し返す。


4R、より大きく足を使い、入ってくる渡辺を捉える島。
撃ち合う場面はあるものの、決して巻き込まれない。
ただ愚直に愚直に撃ち合いを求める激闘派を
ギリギリのところでその土俵に立たせない。

試合は渡辺がロープ際に詰め、全てを出し尽くすように手を出して終了。

 

マイジャッジは39-37で島。

公式ジャッジ

39-37 渡辺
38-38 ドロー
38-38 ドロー

1-0のドロー。


これまで2つのKO負けを喫してきた島。
デビュー戦で見せた勇猛果敢な姿ばかり焼き付いていたが、
この試合、そのボクシングを変貌させ、激闘を求める渡辺を捌きにかかった。

ロープに詰められ撃ち合う場面はあったものの、しっかりと撃ち合ってから、
また足を使って仕切り直し、最後まで足を使ったボクシングを展開…。
その姿には変わらぬ勇敢さもある。

これまで、渡辺の愚直な前進に巻き込まれ、様々なボクサーが激闘に巻き込まれた。
渡辺を相手に最後まで足を使う…誰もできなかったことを2戦2敗の島がやり切った。

どちらに転んでもおかしくなかった試合、
結果はあと僅か勝利に届かなかったが島は間違いなく成長を遂げている。
この選手は一つ一つ強くなる…確信に近い思いを抱かせてくれた。


そして、渡辺…この試合はこれまで重ねて来た大激闘とは少し異なる形にはなった。
ただし、愚直に前進し、殴り合いを求めていく姿はいつもの渡辺。

空調がなく、かなり高い気温となったリングでのその姿に、
スタミナを心配する声も聞こえてきたが、渡辺にその心配は不要。
最後までその雄姿を貫き続けた。
「一本道」を歩くその姿は、相も変わらず胸を熱くする。

渡辺 大和に外れなし。


渡辺だったからこそ、この試合がここまで胸が熱くなった。
島が重ねたKO負けの姿があったからこそ、その変貌に胸が熱くなった
二人の物語が激突した「見て来たからこその感動」に溢れた試合。
涙をこらえられなかった。

 

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