2017/11/26 刈谷あいおいホール-4試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ライトフライ級4回戦】
マンモス 和則(薬師寺) vs 太田 アレックス(西遠)
・マンモス 和則 4戦3勝(3KO)1敗
・太田 アレックス 2戦1勝1敗
この試合、アレックスがマンモスを名指しで対戦を要望した試合。
喧嘩を売る形になったアレックスだが…マンモスは困惑を見せていた。
「いつも挨拶してくれるのに何で…」
前戦で、スタミナ切れを見せて負けてしまったマンモス。
わずか2R持たずにガス欠した姿…そしてその強打で売れた名前。
マンモスを”おいしい”と思った選手は多いのではないだろうか。
しかし…アレックスはそもそも激しい撃ち合いをする選手。
手を挙げたのがアレックスだということに僕は違和感を覚えつつ…
もしかすると…に鳥肌を立てていた。
対戦希望を出した意図は、きっとリングで見れるはず。
1Rのゴングが鳴る。
その瞬間、はっきりとアレックスの意図が伝わった。
前に足を進めて向かっていく…。
“やる気だ…”
これまで、マンモスの強打と真っ向から撃ち合えた選手はいなかった。
サウスポーのマンモスが振るう大きい右フック、それは狙い目のパンチではあるが…。
一発の破壊力は凄まじく、ガードに当たっても体ごと持っていくシロモノ。
バランスを崩せば嵐のような連打に巻き込まれる…それがマンモスのKOパターン。
大振りなフックに合わせたパンチを撃ち込むのは、恐怖心との勝負。
足を使って回るのはマンモスの方。
距離を測りながら、攻め込む瞬間を探す。
マンモスは攻撃力ばかり目立ってしまうが、意外に基本的なこともしっかりできる。
しかし、最初のビッグヒットはアレックス。
クリンチ際、一瞬気を抜いたマンモスにアレックスの左フックが炸裂。
ここは一旦距離をとったマンモス。
お互いに踏み込む瞬間を探し合う緊張感…。
そしてその瞬間は突然…
マンモスが踏み込んで右フックを撃ち込んだところに、アレックスも右フックを振り抜く。
両者の顔面が跳ね上がる…相討ち。
そのままストーン!と同じタイミングで二人の腰が落ちる…しかし両者グッと堪えて踏み止まる。
あわやダブルノックダウン…衝撃的な瞬間。
漫画かよ…。
ダメージが深いのはマンモス。
ふらつきながらクリンチに逃れようとするが巧く抱きつけずに、リングに転がる。
そんなスリップを繰り返しながらラウンドが終了。
2R開始早々、叩き込まれたマンモスの左ストレート。
失神してもおかしくないと思えるような威力のパンチをまともにもらいながら、アレックスは攻め返し、
右ストレートでマンモスの顔面を跳ね上げていく。
お互い迂闊に手が出せない緊張感。
離れた距離から、一気に距離を詰める瞬間を探す両者。
プレッシャーをかけるアレックス、旋回するマンモス。
ラウンド終盤、またもマンモスの左ストレートが炸裂。
しかし、もらった瞬間、一気に攻めに転じたアレックス。
マンモスはガードを固めてやり過ごす。
3R、攻勢を強めたマンモスが大きく右フックを振り出す。
スウェーで交わしながらアッパーをフルスイングするアレックス。
お互いに空振りに終わるも、戦慄が走るようなパンチの交錯。
あまりに大き過ぎる右フックに、マンモスはリングにすっ転ぶ。
再開後も、マンモスは大きい右フックを振るう。
威力は凄まじく、肩口に当たるだけで体を持っていかれるアレックス。
その直後、勝負を賭けたかのように、マンモスをロープに追い込んでラッシュをかけたアレックス。
ここまで優勢に進めながら、真っ向からマンモスと撃ち合う意思を見せる。
しかし…このラッシュを丁寧にガードしていくマンモス。
手を出せるタイミングを選んでカウンターをとっていく…。
そして…突如振るわれた大きな右フックが、アレックスの顔面を捉える。
カウンターで突き刺さった猛烈な強打で千鳥足になるアレックス。
ここからいつものKOパターン。
嵐のような強打の連続からトドメの左ストレート…。
顎を貫いた一撃でアレックスがリングに沈む。
数えられるカウント…
「止めろぉぉぉぉぉ!!!」
衝撃的過ぎるKOシーンに、思わず叫んでしまう。
カウントは途中で止まり、勝者の宣告を受けるマンモス。
勝ったとたんに「すいません!」「すいません!」と叫ぶマンモス。
劣勢の中からの逆転KO勝利。
内容に満足していなかった様子。
見れば誰もが解るマンモスの欠点。
それは最大の武器でもある大きな右フック。
しかし、もらえば終わりのそのフックを狙う相手はいなかった。
初の敗北は、距離を取られたところを大振りを繰り返してガス欠。
これで、マンモスから距離をとって戦う選手ばかりになる…そんな懸念を抱いたばかり。
しかし、アレックスはその右フックと真っ向から対峙し、そして上回りながら、
最後はその右フックに沈んだ。
ただ一言…アレックスは強い。
なぜマンモスを指名したのか…「おいしいと思った」なんて答えはリングに無かった。
ただ、強い男とスリルのある殴り合いがしたかった。
この試合で見せたアレックスの姿を見れば、答えはそれしかなかったように思える。
ほんと…なんなんだよこの試合。
漫画かよ…。
試合後、勝ったことに嬉しさを抑えきれないような感じで、マンモスがやってくる。
家族の隣で観戦していた自分にも声をかけてくれた。
「もっと粗いと思ってた。」
そんな感想を伝える。
興奮したまま、こうしようと思ったら、こうされて…どうでした?
どうしたらいいと思います?
純粋に質問攻めにしてくるんだけど…こっちは…素人なんだよね。
答えに困りながら、言葉を選んで話す。
こんな面白い試合、滅多に見れるもんじゃない。
そして、こんな面白い男も、なかなか会えるもんじゃない。
ほんと…なんだよコイツ。
漫画かよ…。
【カテゴリ別】
2017年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2017年12月に戻る
【記事一覧】2017年に戻る
【記事一覧】に戻る
各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
コメント