vsWBO王者 ラリー・ホームズ(米)⑲ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/23
さて、復帰後4連勝を飾った大ベテランのラリー・ホームズ(米)。
次の戦いは2ヶ月を置いて、ジェイミー・ハウ(米)。
3年半前にオハイオ州ライトヘビー級王座の挑戦に失敗。
1年前に突然ヘビー級にウェイトアップしてきた選手。
積極的にボディを撃ちながらジャブを丁寧に外すハウ。
しかし…突然放ったホームズの右ストレート。
ハウは撃ち出しが全く見えず、もろにもらう。
さらにワンツーもまともに…。
かなり効いてしまったか左も右もまともにもらい始めるハウ。
ホームズが左のフェイントを入れてから放った右に、一瞬間をおいて腰砕けになるハウ。
そのままホームズの強打をもらい続け、全く手が出せなくなったところで試合はストップ。
1RTKO勝利…ホームズのボクシングが戻ってきたことを感じる1戦。
復帰からここまで、実績から言えば格下と言われてしまいそうな相手との対戦をこなしてきたホームズ。
まぁ、40歳を超えての復帰ですから、相手を格下と呼んでいいかは疑問ですが…。
それでも、きっちり5連勝を飾り、過去の名声も合わせて、大きなチャンスを手に入れます。
WBO世界ヘビー級王者 レイ・マーサー(米)への挑戦。
直前の防衛戦では、米屈指の白人スター トミー・モリソン(米)を破っていたマーサー。
挑戦者として名前が挙がったことでホームズの名が再びヘビー級のトップ戦線に躍り出ます。
しかしこの時期、WBOがマーサーに対し、マイケル・モーラー(米)との対戦指令を出しており、
それを蹴ってホームズとの対戦を選んだマーサーはWBO世界ヘビー級王座を剥奪されます。
この試合はノンタイトル戦に…。
ホームズ42歳、マーサーは30歳。
マーサー有利の声が大きい中…試合のゴングが鳴らされます。
開始とともにジャブを突いていくマーサーですが、ホームズは簡単に当てさせない。
先に刺さったビッグヒットはホームズの右フック。
しかしその後、体格にまかせてコーナーに追い込んだのはマーサーの方。
クリンチに逃れるホームズに強引に右フックを連打。
レフリーがブレイクをかけても攻撃を止めず、必死に引き剥がすレフリーのスティーブ・スモーガー。
その後もゴリゴリ攻めるマーサーに強烈なボディからフックで反撃するホームズ…。
ラウンド中盤、マーサーの強烈な左がホームズを捉え、
ホームズは足元をもつれさせながら対角のコーナーまでエスケープ。
しかしここで攻めて出るマーサーの攻撃をブロックとダッキングで殺すホームズ。
技巧健在を見せつけ、逆にロープに詰めて反撃…一進一退の濃い打撃戦が1Rから展開されます。
2R、後ろに下がりながらジャブを突くホームズ。
しかし右に右を合わせた強烈なカウンターを入れたのはマーサー。
ヒット数ではホームズですがクリティカルではマーサー…といった展開。
しかしこのラウンド終盤、状況は一変。
コーナーまで下がったホームズ、マーサーが追い詰めたようにも見えますが、
強烈なパンチを放り込むのはホームズの方。
丁寧に相手の攻撃を防いだ上で、マーサーが一息ついたタイミングに
的確性のズバ抜けたパンチを次々に叩き込みます。
3R、ノーガードで下がりながらマーサーのジャブを上体の動きだけでスイスイ躱すホームズ。
自らコーナーに下がるとマーサーに攻めさせる。
芯を外しながらマーサーに「来い来い」と挑発。
マーサーが間をあけると強打を的確に放り込んでいく…フットワークを失ったホームズが技巧で魅せます。
4R、今度は連打でホームズを追い込んだマーサー。
モロに連打を食らったホームズはクリンチに逃げますが、
ホームズの頭を脇に抱え込んだマーサーはホームズの頭をしめ上げた挙句、コーナーへ突き飛ばず。
かなり頭にきているよう。
このラウンドはマーサーの攻撃が次々ヒット。試合がマーサーに傾いたように見えます。
5R、流れを察知したかフットワークを使い始めたホームズ。
スピードのあるジャブでマーサーを捉えていきますが、
中盤に入るころにはコーナーに詰まるホームズ。
衰えに漬け込んで追い込んだマーサーですが…より多く強打を浴びせるのはホームズの方。
強烈なアッパーを3連打で叩き込むなど…展開を引き戻す。
6R、やはり自らコーナーに下がっていくホームズ。
よそ見をして挑発、前に出てくるマーサーはガードを固めても、
隙間にワンツーをねじ込まれ、フックはガードの外を回り込んでくる…。
撃っても撃っても芯を外され…。
7R、マーサーはコーナーに詰まるホームズに対し、密着しながら細かいパンチを入れていく。
近すぎて全く腰の入らない状態でもコツコツと手を出し続けて、ホームズに攻めるタイミングを与えない。
しかしそれでも終盤、マーサーの手が止まると…ホームズが盛り返す…。
8R、このラウンドはサークリングしながらジャブを入れていくホームズ。
マーサーはタッチするようなゆるいパンチを差し込みながら、
突然スピードを上げた強打で緩急をつけてホームズを襲う。
これをモロにもらってしまうホームズ…かつて魅せたヘビー級最高峰のアウトボクシングは見る影もありません。
9R、開始直後に右ストレートをヒットさせるホームズ。
しかしマーサーも緩急豊かにやり返す。
中盤にはお互いのパンチが交錯する危険な相撃ち…。
観衆はボルテージを上げていく。
10R、前のラウンドあたりからホームズのワンツーに反応できなくなってきたマーサー。
出入りを繰り返しながらボディから崩そうとします。
が、いくつか大きなヒットを奪うもののホームズの下がりながらのストレートも浴びてしまう。
展開は一進一退のまま…
11R、下がるホームズに追うマーサー。
力感のあるホームズのパンチに触るようなマーサーのパンチ。
12R、必死に撃ちに出るマーサー、下がりながら応戦するホームズ。
的確で強烈なホームズに対し、手数で上回るマーサー…。
何を獲るかで割れてしまいそうな試合…6P~2P差でホームズの勝利。
大激戦の末、王座をはく奪されていたとはいえ直前まで世界王者だった相手に勝利。
激戦に、まさかのカムバックからのアップセット…、観衆の大歓声が響きます。
これほど観衆に受け入れられるホームズ…復帰していなければ見られなかったかもしれない…。
実は僕のマイジャッジはマーサー…ポイント差以上に激戦だったこの試合、
全盛期だったら、きっとブーイングが響いていたのでは…。
観衆は強過ぎるホームズより、衰えたホームズの方を受け入れたようにも…。
さぁ、ホームズ…こうなってくると…欲しくなるのはベルト…。
衰えたホームズが、現代の世界で最も強い奴と戦う。
そんな試合はまた次回。
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