2025/06/15 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~メインイベント(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーライト級4回戦】
辻 翔太(とよはし) vs 矢山 來斗(北島)
好戦的に仕掛けたのはデビュー戦の辻。
自分から自分から拳を繰り出していく。
迎え撃つ矢山は撃ち終わりを捉える。
両者しっかりと頭を動かしながらの戦い。
飛び交うパンチはスリリングだがクリーンヒットは多くない。
2R、強烈なワンツーをヒットさせた辻が攻め込むが
矢山は柔らかいボディワークで後続打を外し、逆に強烈に左右ボディをえぐる。
常に手を出し続けて顔面を襲う辻に対し、矢山はボディを攻めて反撃。
3R、ここまで上体柔らかく空振りを多く誘い、さらにボディを削って来た矢山。
功を奏したか、辻の運動量がガクッと落ちる。
コーナー際の撃ち合いも互角に乗り切り、
矢山が押し込んでボディを叩く時間が増える。
4R、ボディから攻め込んだ矢山。
このまま押し切るかに思えたが、最後の力を振り絞るように反撃に転じる辻。
手数で上回って攻め立て、矢山に行こうとする流れを強引に引き戻す。
終盤、精魂尽き果てるような両者の撃ち合いからコンビネーションが続いたのは辻。
辻が攻める形で試合終了のゴング。
マイジャッジ
39-37 辻
公式ジャッジ
39-37×3
3-0 勝者:辻
前半2Rを積極的な攻めで優位に運んだ辻。
しかし、矢山の術中にはまったように失速した3R。
ここから最後を盛り返しての判定勝利は驚きだった。
最後は「手数」で押しこみ、数の分多くクリーンヒットを産み出した。
終わってみればはっきりとした判定勝利だが、
展開自体は楽なものでなかったはずだ。
デビュー戦からいい試合を乗り越えたことで、今後がより期待できるように思えた。
矢山の柔らかさ、ボディには秀でたものを感じた。
決して弱いボクサーではない。
新人王戦にエントリーすれば、新人王対抗戦へ勝ち上がり、
中日本新人王に立ちはだかる可能性も充分にある。
時を経て、強さを積み重ねた矢山に出会えることを楽しみにしている。
辻 翔太 1戦1勝
矢山 來斗 2戦2敗
【スーパーフェザー級4回戦】
小田 智己(三河) vs 淵上 慶(西遠)
サウスポーの小田とオーソドックスの淵上。
前の手でフェイントを掛け合いながらのタイミング勝負。
接触の少ない展開の中、1R中盤にコーナーに飛んだ淵上へ
小田が連続で左をヒットさせる。
2Rも見合いながらタイミングを測る二人だが
先に踏み込むのは小田の方。
淵上はなかなか手を出せず。
3Rは淵上が積極的に踏み込み始める。
迎え撃つ小田の拳を浴びながらも、踏み込んでヒットを奪う。
4R、お互い好戦的となり、スリリングなパンチで捉え合う。
ラウンドが進むにつれ、押し合う中で小田の手数が増えていったか。
小田が優位に進めた試合、最後は勝利を確定づけるように押し切って試合終了。
マイジャッジ 39-37 小田
39-37×2
40-36
3-0 勝者:小田
淵上側から見ればなかなか手が出ずもどかしい試合展開だったように思う。
強引なトライを試みた場面もあったが、互角以上には上回れず。
「行かなければ」は理解しながらも、手段を失い、迷いのままタイムアップしたように感じた。
ただ、そこにはタイミングを制し続けた小田の強さがあったようにも思える。
「出れないのは出れない理由があるから」
小田が淵上を封じた戦いと見たい。
そのうえで、こういった展開をどう乗り切るのか。
どうすればよかったのか…。
淵上がより強くなるための引き出しにつながってほしいと思えた。
小田 智己 1戦1勝
淵上 慶 2戦1勝1敗
【65.5kg契約6回戦】
松岡 陸(浜松堀内) vs 中島 大智(北島)
1R、立ち上がりから鋭く素早い左でヒットを奪う松岡。
時折ワンツーにつなげて痛烈なヒットを奪う。
まだ様子見の段階か、手数の上がらない中島を積極的に攻めていく。
2R、ジリジリ詰めながら左をスピーディに突き刺す松岡に
ロープを背に足を運びながら迎え撃つ中島。
お互い踏み込んだ場面での勝負は互角だが、
離れ際やジャブの数で松岡が上回るか。
3R、中島のジャブに松岡が右クロスを痛烈に叩きつける、
中島が前に出て縮まった距離では松岡の左フックが入り
離れた距離ではジャブが有効に見える。
4R、じりじりと詰めながら中島の撃ち終わりに強打を叩きこむ松岡。
フェイントをかけながら跳び込んで左右フックでも強烈に捉える。
細かくジャブを出して状況を打開しようとする中島だが、
なかなか強いパンチをヒットさせるには至らない。
5R、ジャブを突きながら前に出始めた奈安島、
被弾もあるが、右ストレートが松岡を捉える場面が出始める。
しかし中盤以降下がり始めると、手数が減り、
松岡がジャブと右ストレートで捉える場面が目立つ。
ラウンド終了間際、撃ち合いの中で松岡の撃ち終わりを捉える中島。
まだ光はある…。
6R、ギアをあげた松岡に、もらいながらも撃ち終わりを捉える中島。
ただ、積極性で上回る松岡のヒットが上回っていく。
試合終了間際、最後にかけて攻め込んできた中島。
ここの撃ち合い、コンパクトに左フックをねじ込んだ松岡。
中島は膝を着くダウン。立ち上がったところで試合終了のゴング。
マイジャッジ 60-53 松岡
公式ジャッジ
59-54×2
60-53
3-0 松岡
松岡が九州からの刺客をハンドスピードと破壊力で上回った。
B級初戦ながらメインイベンターを務めた松岡。
実力でその大役を務め上げたように思える。
最後の最後、勝利にかけて飛び込んできた中島。
決定的なダウンを奪われてしまったが、
それこそが、最後の最後まであきらめなかった証明だとも思える。
どちらもプロとして魅せるべきものは見せた試合。
いいメインイベントを見た。
しっかりと余韻を残しての試合ぶり。
これから先、両者ともA級への道のり、さらにその先の戦いで
客席を魅了していってくれることだろうと思う。
この日の主役を務め切ったことを、自信としてほしいと思えた。
松岡 陸 6戦5勝(2KO)1敗
中島 大智 6戦4勝(1KO)2敗
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