2020/11/01 -刈谷・あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フェザー級4回戦】
ドプラド・フェリペ(緑) vs 平井 乃智(寝屋川石田)
ドプラド・フェリペ デビュー戦
平井 乃智 2戦1勝(1KO)1敗
ゴングが鳴るとともにダッシュで対角コーナーへ走り出す平井。
迎え撃つフェリペが右ストレートを先に浴びせる。
しかし、勢いを止めない平井がカウンターで左フックを浴びせてフェリペが尻餅をつくダウン。
いきなりの奇襲を成功させる。
ダメージはそれ程なさそうなフェリペ。
再開後、激しく撃ち合って取り返しに行く…。
この撃ち合いではフェリペがしっかりと拳を叩きつけ、上回ってみせるが…。
平井はガードを上げて耐えながら、またもカウンターの左フックで捉え、フェリペの腰が砕ける。
なんとか踏みとどまったフェリペ…ここから二人は互角の撃ち合い。
いきなり激しい展開でこの日の興行が幕を開ける。
2R開始直後、撃ち合う中で平井の左フックに対してフェリペの右ストレートがカウンターで強烈に突き刺さる。
ぐらついた平井だったが、攻め込むフェリペに対し、ここもガードをしっかり固め、
要所要所で撃ち返してしっかりと立て直す。
フェリペの右フック、右ストレートが平井を捉える場面が目立つ中、
フェリペの口からマウスピースがこぼれ落ちる。
コロナ対策の一環だろう、レフリーはマウスピースを素手で触らず、
リング下からトングを受け取ってマウスピースを拾う。
通常マウスピースが落ちた時より長い試合中断…。
再開直後、またも対角線をダッシュで走って仕掛ける平井。
試合は引き続き撃ち合いの様相…強烈にボディを捉えるフェリペだったが、またもマウスピースが…。
同じくトングで拾って…再開後、平井がダッシュで…。
ここでは、平井が一気にパンチをまとめていく…最中、もう一度フェリペの口からマウスピースが…。
このラウンド3回目のアクシデント…再開後は激しく捉え合ってラウンド終了のゴング。
3Rも撃ち合う二人だが…平井が左右ボディから強烈な右フックを浴びせたところでまたマウスピース…。
レフリーからフェリペにマウスピース装着義務違反での減点1が課せられる。
再開後の撃ち合いの中…リング中央での撃ち合いで、平井の右が強烈にヒット。
これを皮切りに平井がパンチをまとめ、フェリペがもらいながらコーナーまでずるずると後退。
ここでレフリーが割って入って試合をストップ。
TKOタイムは3R 59秒
常にファイトに持ち込んで勝利を飾った平井。
度重なる試合の中断にも集中力を切らすことはなく、最初から最後まで撃ち合ってTKO勝利を飾った。
効かされた場面でもガードを上げて、撃ち返せるタイミングで返していくなど落ち着きがあった。
いいファイタ-…今後が楽しみに感じた。
フェリペはマウスピースが落ちてしまうことで、展開が変わってしまったようにも思える。
奇襲を浴びたが、その後の撃ち合いでは優位に立っていた時間もあり…。
デビュー戦は残念な結果となったが、仕切り直して欲しいと思う。
撃ち合う中で、右を強烈に浴びせるシーンが目立った。
激しい試合を積み重ねる選手になっていきそうな選手に感じた。
【54.0キロ契約4回戦】
美濃 巧人(とよはし) vs 渡辺 大和(カシミ)
美濃 巧人 デビュー戦
渡辺 大和 4戦2勝2敗
試合開始直後から美濃が長いジャブで捉える場面が目立つ。
渡辺も美濃のパンチの合間に踏み込んで、左フックのカウンターを獲って反撃。
そんな中、渡辺が踏み込んだタイミングで二人の頭が衝突。
美濃が左目上から出血…こちらの試合もいきなりハプニング。
ドクターチェック後、試合が再開されると、美濃は長いパンチを旺盛に出して渡辺を捉え
渡辺は詰まったところでボディにパンチを集め、上にも返す。
2R、お互いの距離が近づく場面が増えると、両者の拳が相手を捉える数も増えていく。
距離が少し空けば美濃の長いパンチが捉え、近づけば渡辺の回転が勝る。
腹から上へ…時折右ストレートを撃ち込みながら渡辺が回転を上げていく。
試合は時間が経過するごとに撃ち合いの場面を増やしていく。
3R、開始直後から撃ち合う二人…美濃が一気にペースを上げると、右ストレートのヒットをきっかけに
一方的な展開に…渡辺のパンチが届かないところから美濃のパンチが次々に渡辺を捉えていく。
普通ならストップのタイミングにも思えるが…渡辺は当たらずとも絶え間なく反撃の手を出し続ける。
鬼の形相で手を返していく渡辺に…止め所がない状況。
美濃のラッシュを受け止めきると、ペースを落とした美濃に対してここから渡辺が反撃。
直前まで数十発のパンチを浴び続けたようにも思える渡辺だったが、それが嘘のように美濃を後退させる。
ここは美濃がボディから盛り返し、展開は互角の撃ち合いになってラウンドが終了。
4R、ボディから上へ…自分のボクシングに立ち返ったように渡辺が美濃のボディを削る。
美濃は距離が少しあけば、ロングパンチをまとめて渡辺をグラつかせる。
お互いがお互いのスタイルをぶつけ合うような撃ち合いを展開した3分間。
試合終了のゴングと共に二人はガッチリと抱き合って死闘が幕を下ろした。
マイジャッジ…38-38 ドロー
公式ジャッジが発表される。
39-37 渡辺
39-37 美濃
割れた…際どい試合、どちらについてもおかしくない。
最後のジャッジは…。
39-37 美濃
2-1 勝者:美濃
悔しさを全身にまとってリングを降りて来た渡辺。
並のボクサーなら3R、美濃のラッシュを浴びた時点でストップされている。
信じられないことにそれを耐えきり、尚且つ手を返し続けることで、レフリーにストップのタイミングを与えなかった。
運よく止められなかったのではない…自力で阻止してしまったように見えた。
鬼の形相で歯を食いしばり、顔面にパンチを浴びながら手を返す…。
その表情がはっきりと見れたのはリングサイドでの観戦だったから。
これこそまさに、リングサイド1万円の価値だと感じた…。
その価値を産み出した”プロ”ボクサー、渡辺 大和、見事な戦いぶりだったと思う。
対してデビュー戦からとんでもない試合をやらかした美濃。
超ド根性で向かってくる相手に対し、臆することなく自分のボクシングをぶつけたように見えた。
長いパンチは、距離のある所で生きるが、捌くわけではなく好戦的。
この選手が産み出す試合…面白いものばかりになっていきそうにも感じる。
間違いなく、今年の中日本ベストバウト候補となる一戦。
この二人、来年の新人王トーナメントでの階級は合うのだろうか。
合えば再戦に夢を見、合わなければどちらの方がより高みに近付くかに興味をそそられそうだ。
いいライバルになって欲しい…。
どちらからでもなく、お互いにそうすることが決まっていたかのような試合終了直後の抱擁を見て、
そんな思いを強く感じた。
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