2020/09/21 【二部】-愛知・刈谷あいおいホール- 第3試合、第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■中日本スーパーフェザー級新人王決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
樋口 和輝(ARITOMI) vs 長谷 和紀(トヤマ)
樋口 和輝 5戦4勝(2KO)1敗
長谷 和紀 7戦5勝(3KO)1敗1分
1R、しっかり距離を取りながらジャブを刺す樋口、密着した場面では左フックを強く撃ち込んで離れる。
さらに長谷が踏み込んで右ストレートを撃った場面では、それを躱して左フックを被せてみせる。
左が抜群に上手くなっている…短期間でこれ程…衝撃を受ける中、
長谷が密着して左フックを捻じ込み、ラウンド中盤にようやくはっきりしたヒット。
すると、次の展開では樋口のジャブに合わせて右ストレートをカウンターで撃ち込み、こちらも並でない巧さを見せる。
樋口も離れ際に左フックでやり返し、ガチャガチャした場面でも泥臭く左をヒット。
さらに長谷の入り際で捉える場面も。
お互いに間合いを測り、静かな展開だった1Rだが、樋口の左が制したか。
2R、左の刺し合いとなった序盤、緊張感のある主導権争いが繰り広げられる中、樋口のダイレクトの右がヒット。
長谷も踏み込み合って密着した場面からの離れ際で左フックを叩きつける。
近い距離でお互いにパンチを交錯させる場面では長谷の左アッパーがヒット。
樋口は右のオーバーをカウンターで撃ち込んでやり返し譲らない。
ラウンド終了直前にはダイレクトの右を撃ち込んだ樋口に、スリッピングアウェイでダメージを殺す長谷。
…新人王トーナメントの試合とは思えない攻防が繰り広げられる。
3R、交錯するパンチの数が増える両者。
ハイスピードの攻防はお互いに危険な距離を避け、明確なヒットが見受けられない中、
樋口が踏み込んだ瞬間、サイドに飛んで左フックを入れる長谷。
ここから両者の距離が若干近付くと、お互いに左フックで捉え合う場面もあり、
鋭いパンチが乱れ飛ぶ展開…しかしディフェンスのしっかりした両者とも、相手のパンチを喰う場面は少ない。
中盤以降は樋口がしっかりと距離を維持。
まだまだ主導権ははっきりしない。
4R、開始から長谷が圧力を強めて撃ち合いへ。
カウンターで迎え撃つ樋口、両者のパンチがお互いの顔面を捉え合う。
中盤以降は足を使って迎え撃つ樋口、長谷が詰めて捉える場面も
スルスルとその場から脱出し、入って来るところに強烈なアッパーを合わせる。
終盤はクリンチも駆使しながら、長谷の攻撃を抑え込む。
5R、最終ラウンド、お互い好戦的に鋭利なパンチを交わし合う中、
何がヒットしたかははっきり見えなかったがもつれたような尻餅で、長谷がダウン。
ダメージはなさそうだ。
これで腹をくくったか…これまでより無防備になりながら、
カウンターや離れ際の左フックを浴びながらなりふり構わぬアタックを仕掛ける長谷。
強引に、暴力的に襲い掛かる長谷…。
スタイリッシュなはずの長谷が牙をむく…しかし、なんとか樋口はいなし切って試合終了のゴング。
左の巧さも、長谷を振り切った足も…樋口の変貌を遂げた姿に驚いた。
1年半前の長谷との対戦では左にカウンターを合わされることで攻め手を失う中、
愚直なトライで状況を打開しようとしていた樋口。
その左を信じられないほどに磨き、足を使い、スタイリッシュで技術高い長谷が追いかける展開を作る…。
それはまさに成長と言うより変貌…。
この樋口が全日本を獲って帰って来る姿が見たい…その可能性は充分にあると感じさせられた。
決して長谷が弱くなったわけではない。
試合後半に失速することもあった長谷だったが、この日はそんな素振りは一切なく、
最終ラウンドにはこれまでに見られなかった獰猛な姿さえ見せた。
長谷は強くなっている…それを上回るスピードで樋口が伸びた。
それがこの試合の結果だったと思っている。
■中日本ミドル級新人王決勝
【ミドル級4回戦】
早川 教文(中日) vs 前岡 デニスロベルト(西遠)
早川 教文 1戦1勝(1KO) サウスポー
前岡 デニスロベルト 1戦1勝(1KO)
序盤から強烈な左ストレートで上下に襲う早川。
コーナーに追い込むとスイッチして左を前に出して突き刺していく。
対して前岡も、左をボディに持ってきた早川の顔面を左右フックで襲う。
いったん展開が仕切り直しになると、ダイレクトの右を撃ち込んで距離を取る前岡。
対して左ボディストレートを強烈に撃ち込む早川。
ミドル級の重量感ある攻防。
ラウンド終盤、ロープ際の攻防で左ストレートを効かせると、
スイッチして右ストレートを叩きつける…一旦もみ合いになりブレイクがかかるも
仕切り直し後、左ストレートで前岡を飛ばすと、さらに何度も左ストレートを追加し、前岡が前のめりにダウン。
膝をガクガクさせながら立ち上がった前岡だったが、レフリーは続行を許さずテンカウントが数え上げられた。
KOタイムは1R 2分57秒。
技術豊かなはずの前岡がその力を出すことができぬまま、
早川の強烈な左右ストレートに潰されてしまった印象。
スピードも威力もあり、頻繁にスイッチしながら撃ち込まれる左右のストレート。
ボクサーらしからぬマッチョなシルエット。
瞬発力と威力を備えた驚異的なストレート。
これまでにあまり見たことのない特異なスタイルが、この先を期待させる。
前岡は元々ライトヘビーでデビューすると聞いていた選手。
プロのリングへ上がることを決めてから、何10Kgもの減量を経て上がっているリング。
決して若くない33歳という年齢だが、まだまだプロボクサーとして戦う姿を見ていたい。
これで今年の中日本新人王が出そろった。
コロナウイルス感染拡大防止の運営中、表彰式に立ち会うことはできず、観客は退出を促された。
残念な思いもありながら致し方なし。
彼らの活躍を祈るばかり。
各地区新人王との対決へ…行ってらっしゃい、我らが中日本新人王。
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