2019/11/04 -大淀コミュニティセンター 大阪天神興行Ⅱ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーライト級4回戦】
HIRO KING(TEAM KING) vs パソダ・ナパポーン(タイ)
HIRO KING デビュー戦
パソダ・ナパポーン 2戦2敗
1R、HIRO KINGの大きな右フックの内側に、パソダの右ストレートが強烈に突き刺さる。
しかしHIRO KINGはお構いなしに振り回していき、ラウンド中盤には
押し合いの中でバランスを崩したパソダに強烈に右フックを叩きつける場面も。
ラウンド終盤、腰を振って挑発するHIRO KINGに対して飛び込んだパソダ。
そこにHIRO KINGが右フックを突き刺し、パソダが膝を着くダウン。
ラウンド終了直前には撃ち合いの中、またも膝を着くパソダ。
この場面はスリップの裁定だったが、HIRO KINGは拳を止めれず、右フックを撃ち込んでしまう。
2R、ジャブを突いて試合を組み立て直していくパソダ。
しかし、距離が詰まった一瞬、左フックを叩きこんでHIRO KINGがダウン奪取。
ここでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは2R 1分21秒。
普段は総合格闘技のリングに上がるHIRO KING。
ダウン奪取後、ニュートラルコーナーに行くのが遅れる部分など
ボクシングへの不慣れは感じるものの、タフさに任せて圧力で倒し切った試合。
根本的な強さはしっかり備えているように感じた。
パソダはこれで日本のリングで3連敗となるが、
決して日本人に勝ち星をつける為に呼ばれている選手ではないように感じた。
例えばこの選手が、日本ランカークラスとマッチメイクされれば、
そういった意図を感じてしまうが、相手は今日が初めてのプロボクシングのリング。
ジャブから組み立てる姿など、ボクシングの綺麗さではパソダが上回った。
日本人vsタイ人の結果が圧倒的に日本人の勝ち星が上回ることが話題になることもあるが…
タイ人が弱いのではなく、組み方がおかしいだけ。
それを再認識させられたようにも感じた。
■WBFアジアバンタム級王座決定戦
後藤 心大(大阪天神) vs チェ・ヨンドゥ(フリー)
後藤 心大 4戦4勝
チェ・ヨンドゥ 5戦4勝(3KO)1敗
1R、先にジャブを突いて行ったのはチェ。
後藤も負けじと突き返すが、チェがワンツーで先制する。
後藤のジャブに合わせたチェの右ストレートが何度も何度も後藤の顔面を捉える中、
左ボディも強烈に後藤の腹をえぐる。
中盤にはチェの左アッパーに、右フックを引っ掛けた後藤だが、
ラウンド終盤、チェの強烈なボディアッパーが突き刺さる。
2R開始直後からチェのワンツーが後藤の顔面を捉えて行く。
さらにボディに強烈に拳を捻じ込まれる後藤。
左ボディフックで反撃する後藤だったが、チェのコンビネーションを浴びる。
勢いに乗るチェ…しかし、右ストレートをカウンターで突き刺してチェの勢いを止めた後藤。
以降はチェが躱し、後藤がガードで受け止める…
ラウンド終盤、今度は後藤がワンツーで捉えると一気に攻め込みボディに強烈にパンチを集める。
しかし、チェが左ボディをやり返すと、ワンツーを連続で撃ち込んで行き、
ガードの隙間に拳を捻じ込んで、後藤の顔面を跳ね上げていく…。
既に後藤の顔面は腫れて来たか…視界が狭まっているようにも見える。
プレッシャーをかけて距離を潰していく後藤に対し、チェは丁寧に後藤のパンチをガードしていく。
3R、このラウンドもジャブの刺し合いとなるが、
チェがやや遠い距離から追いかけて右ストレートを突き刺す。
ジャブの応酬の中で距離の遠い後藤に対し、ナックルをヒットさせていくのはチェの方。
ラウンド中盤、チェがロープに詰まったところ、後藤が強烈にボディを突き刺すと
二人の距離は接近…動きの止まったチェに対し、ショートを顔面に集める後藤に対し、
チェは後藤のボディを狙っていく。
終盤、左の刺し合いに展開が戻ると、右ストレートを後藤の肩越しに突き刺したチェ。
後藤はこの場面でガクっと腰を落とす。
4R、ジャブを突いて入っていきながら、距離が潰れたところでボディを襲い始めた後藤。
チェがボディを撃ち込む場面では、ショートの右フックで迎え撃つ。
後藤が詰めていき、チェを捕まえ始めると試合は激しい撃ち合いに。
右ストレートのカウンターを何度も貰う後藤だが、臆せず詰めていき、
細かくフックで襲いながら、右ストレートでチェを揺らしてみせる。
しかし、ラウンド中盤、激しくパンチを交換し合う中、チェのドンピシャの右ボディで後藤が膝を着く。
再開後、このチャンスに一気に攻めて行くチェだが、後藤はラッシュを浴びながらも
逆にチェをコーナーに押し付けると、猛烈なラッシュを浴びせ返す。
大ピンチからの怒涛の盛り返しに、会場の歓声もヒートアップ。
5R、ジワジワと詰めていった後藤。
チェの肩越しに右ストレートをカウンターでぶつけると、強烈にボディを襲う。
しかし、後藤の攻撃がひと段落すると、チェがボディから顔面へコンビネーションで襲う。
後藤のターン、チェのターン…お互いがコンビネーションをぶつけ合う時間を交代で繰り返しながら、
ラウンド終盤に入ると、お互い長めの距離に位置する中、
時折後藤が詰めて、ボディから顔面へ襲うシーンを作り始める。
ダウンを奪われて以降、後藤が盛り返し始めたか…。
6R、ミドルレンジで後藤のパンチを柔らかく躱しながら、カウンターを獲っていくチェ。
しかし、距離が近づいた場面では、後藤がボディから顔面へと襲っていく。
時折返されるチェのボディは強烈に後藤の腹をえぐる…。
ボディでダウンまで奪われている中、効いていないハズがないが…後藤は勢いを緩めない。
ラウンド中盤に差し掛かろうかというところ、
チェが右の撃ち下ろしで後藤を揺らすと一気に襲い掛かる。
しかし、距離が近くなれば、後藤は豊富な手数でチェの顔面を跳ね上げる場面を何度も作る。
後藤が一気に捲っていき、チェが棒立ちになる場面も作る中、
終盤、チェの右ストレートがカウンターで炸裂。
後退した後藤に、もう一度右ストレート…ここでガクりと腰を落とした後藤に対し、
チェが的確にパンチを集めながらロープに追い詰める…。
防戦一方になった後藤に、レフリーが割って入って試合がストップ。
6RTKO。
WBFアジアバンタム級新王者はチェ・ヨンドウに。
国籍は韓国だが、日本を拠点にしているチェ。
リングサイドでは身近な応援者たちが両手を天に突き上げて立ち上がる。
歓喜の瞬間に、ベルトのメジャーマイナーは関係ない。
愛すべきボクサーが、その拳で勝ち得た青いベルト。
誇らしげに胸を張る、ボクサーとリングサイド。
ここまでのポイントも展開も、結果的にはチェが圧倒。
しかし、何度も効かされながら、あわや逆転にまで迫った後藤。
それを起死回生のカウンターでねじ伏せたチェ。
WBFアジアタイトルマッチはこれで2戦目の観戦になるが、いずれも大激闘。
そもそも、メジャーもマイナーも、チャンピオンと言う言葉さえ概念でしかない。
その肩書を求めるボクサーたちが繰り広げる熱戦にこそ価値があり、
どんな肩書もその為に存在しているように感じる。
今夜の熱戦を演じた二人が、まさにそれを証明したように感じた。
数多くのマニアや、専門誌でさえ捨て置いてしまうマイナータイトル、JBC管轄外の試合。
そこでこれほど面白い熱戦が繰り広げられている。
先入観で見逃してしまうなんてことは、僕にはもったいなくてたまらないことのように思う。
そして…数多くのボクシングに詳しい人達が知らない熱戦を僕は見た。
そのちょっとした優越感を抱えて、名古屋への帰路につく。
また、次のタイトル戦も見に来るだろう。
そのベルトを求めるボクサーがいる限り、
そのタイトルの元で繰り広げられる戦いが終わることはない。
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