2018/3/25 -刈谷あいおいホール-4試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
この日、3試合が終わったタイミングで竹嶋 宏心(松田)が公開プロテストに挑む。
国内アマチュアのトップ戦線とも言える関東大学1部リーグの拓殖大学主将。
アマチュア戦績:101戦82勝19敗をひっさげ、期待のホープとして名古屋からデビューする。
スパーリングの相手を務めるのは…坂 晃典(仲里)。
我らが日本チャンピオン、林 翔太(畑中)から刈谷の地でベルトを奪い去り…
4月30日には期待のホープ、力石 政法(緑)の前に立ちはだかる。
林戦を見たファンすべてがその強さを知っている…
中日本のファンにとって特別な存在となっている前日本フェザー級王者。
ゴングが鳴ると、竹嶋が驚きの力を発揮する。
スピードで坂と互角以上に渡り合い、ディフェンステクニックの豊富さを見せつけ、
そして抜群のタイミングでパンチを放っていく。
実戦ではないので何とも言えない部分はあるが…この時点でランカークラスと思える動きを見せる。
また今年も期待のホープが中日本からデビューする。
しかも…ちょっとこの選手は他のホープたちと比較しても別格かもしれない。
【フェザー級4回戦】
阿部 史也(タキザワ) vs 東 祐也(北海道畠山)
・阿部 史也 デビュー戦 サウスポー
・東 祐也 2戦1勝(1KO)1分
1R、ジャブを軽くヒットさせると、続けざまに左右のフックを連打する東…鋭さもスピードも充分。
対する阿部もスピード負けせず、当て感の良さを見せてタイミングよく東を捉える。
2R、プレッシャーをかけていく阿部、左ストレートをボディに伸ばす。
密着した距離でコンパクトで鋭利なフックを撃つ東。
しかし阿部も怯まず、逆に強烈なフックを浴びせてサイドに回ろうとする。
至近距離での攻防がとにかくスリリング。
上半身をぐっと傾けてフックを飛ばす東のフォームは、
どことなくこの日のメインに登場する水野 拓哉(松田)に似ているように感じる。
3R、密着した展開の中、東の連打に差し込んだ阿部の左ストレートが炸裂。
ダウン寸前まで腰を落とした東は一気に後退…攻め込んだ阿部だが、ここは東がクリンチに逃れる。
その後もなんとかクリンチを駆使してダメージの回復を図った東…
このラウンド終盤にいきなり仕掛けて出る。
開き直ったかのような一気の東の猛ラッシュ…
阿部も怯まずに、もらいながらもその連打の間にパンチを差し込もうとする。
どこまで持つのか…捨て身のような猛烈な連打を30秒以上…
東はラウンド終了のゴングまでやり切ってしまう。
4R、スタミナが持つのかを心配するこちらを他所に、体で押し込みながら鋭利なフックを飛ばしていく東。
強烈な左フックが幾度も阿部を捉える…効いていないはずがないような危険な角度の左。
しかし…阿部も引かず、東を捉え返すスリリングな撃ち合い。
試合はそのまま最終のゴングを迎える。
マイジャッジ 39-37 阿部
採点が発表される…
39-38 東
38-39 阿部
判定が割れる…。
3R、ダウン寸前の一撃を浴びせた阿部か…終盤一気に盛り返した東か…割れる要素はいくらでもある試合。
最後のジャッジ…
38-39 東
マイジャッジとは逆に出てしまったが納得のいく判定。
それにしても、阿部も東も平均値の高いボクサーに思えた。
スピードもタイミングも…4回戦としてはもったいなくさえ思えるカード。
まさに激戦と言える内容だった。
両者の今後…注目していきたい。
次戦に予定されていた2つの試合は中止。
【スーパーフェザー級4回戦】
工藤 拓磨(松田) vs 片山 奎志(結花)
【スーパーバンタム級8回戦】
佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ) vs 菊地 永太(真正)
佐伯 瑠壱斗に関しては計量失格となっている。
体重を作れないこと…これはボクシングにおいて絶対悪である。
佐伯は責めたてられて当然で、ボクサーとして最も恥ずべき部類の失態を犯したことになる。
試合のために準備していた菊地には不憫としか言いようがない…。
ただ…体重を作るシビアさ、期待の試合が流れてしまう残酷さ…。
これもまたボクシングのリアルだったりすると思う。
これはこれでボクシングとして受け入れようと思うが…。
応援している選手が体重を作れなかったときのファンの葛藤。
受け入れるまでの苦しい感情は知ってほしい。
裏切られたような思いと信じたくない思い…これほど苦しいものはないと思う。
周りもファンも、みんなが傷付く。
佐伯に対して思うのは…しばらくキツい時期が続くと思うが…。
この件について、自分のやらかしにへこたれる結末が最悪のバッドエンドだと思う。
人間誰しもが大なり小なり失敗はする。
大事なのはそのあと。
失敗のあと、どうするかでその人の仕事の価値が決まると思っている。
致命的なミスを犯してしまったのは事実だが…未来に勝る過去なんか存在しない。
佐伯というボクサーを見限る人も出てくるかもしれない。
それだけ大きなことだとも思う。
だけど…僕は佐伯を諦めない。
どんな逆境も二つの拳で乗り越えられるのがボクシングであって欲しい。
そして、願わくば陣営全体で反省を…。
選手が悪いのは当然だが…選手の体重をしっかり管理しているジムもあるし、
結果論的にはなるが、この階級で試合を組んでしまった責任もある。
1割でもいい…佐伯が被るダメージを分け合って欲しいと思う。
ここに書くのはあくまで個人的感情だが…。
僕は、この件を踏まえたうえで今後も佐伯を応援する。
この件を許せないファンに対しては、佐伯と一緒に嫌われてしまおうと思う。
全員で責めたてても仕方ない。
見てきた一人として…挽回する佐伯を信じようと思う。
失態には変わりないが…何もボクシングにおける死刑宣告ではないのだから。
どうかここを乗り越えて欲しい。
この試合に向けて準備していた菊地やそのファンに対しては、
やりきれない申し訳なさのような思いが残るが…。
同じく一人のボクサーを応援する身として感情だけでも理解してほしい。
計量失敗で応援していた選手を嫌いになれるなんて…そんな楽な話はないよ。
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