2017/7/16 刈谷あいおいホール-3、4試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/7/16 刈谷あいおいホール-3、4試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【56Kg契約4回戦】
太田 奏人(中日) vs 甲斐 貞行(HEIWA)
 

・太田 奏人 デビュー戦 サウスポー
・甲斐 貞行 1戦1分
 

デビュー戦で中日本新人王準々決勝を豊島 竜樹(伊豆)と戦い引分けた甲斐。
豊島が引分けの勝者扱いとして準決勝に進んだ為、甲斐は新人王戦敗退。
ハイクオリティの内容に、僕は豊島に注目した。

豊島と引分を演じた甲斐…当然、僕はこの選手の実力も高く買っている。
対して、相手はデビュー戦で情報のない太田。
並みの相手なら甲斐が負けるはずがない…
僕は甲斐の勝利を信じ切ってこの試合のゴングを聞いた。
 

1R、お互いに距離を測り合う。
オープニングヒットは甲斐の左に被せた太田の右。
さらに、太田の左ストレートが甲斐を捉える。

カウンターを狙うサウスポーの太田に、甲斐は迂闊に手を出せない。
中盤の撃ち合いでも、自由を奪われたように見える甲斐が劣勢。

ラウンド後半にようやく甲斐の左右フックが太田を捉える。
 

2R開始直後、仕掛けたのは太田。
猛烈なコンビネーションを甲斐はしっかりとブロック。

しかし、しつこく止まない太田の攻撃に、甲斐が反撃し始めると、
お互いのスリリングなパンチが顔面を捉え合う。
甲斐が先に太田が膝を揺らして、一旦太田のアタックは終了。

その後スリリングな撃ち合いの中で、お互いのフックが交錯した瞬間、甲斐が痛恨のダウン。
これをきっかけに、太田はリズムに乗って行く…。
 

3R、フレームで下回る甲斐は、より足を使い始めた太田にパンチが届かない。
太田は離れればカウンター、近づけばコンビネーション。
強烈な左から入って行き、甲斐を翻弄する。
 

4R、距離をとって戦う太田。
左ストレートを当てると、一気にコンビネーションで攻め立てる。
ハンドスピードはこのレベルでは特筆したい武器。

パンチが届かない甲斐…狂った歯車を立て直すことができない。
そのまま…試合終了のゴング。
 

判定は…3者ともに40-35。
マイジャッジも40-35。
 

デビュー戦をフルマークの勝利で飾った太田。
 

凄いと思った奴が、さらに凄い奴に出会って負けてしまう。
観戦していれば、必ず出会う瞬間…。
何なんだよ…この太田って奴は…。

このあとに出てくる佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)のデビュー戦も相当な衝撃だったけど…
それに匹敵する衝撃を感じてしまった。

才能や実力…それがちょっとしたことで簡単に崩れてしまうのもボクシング。
できるだけ上を見ながら戦い続けてほしい。
勘違いしたければ、簡単に勘違いできるほど、きっと彼は恵まれている。
 

甲斐…、途中狂ってしまった歯車をどうにも立て直せなかった。
こうしていれば…あぁしていれば…
そんなことが頭の中をグルグルしているんじゃないかと思う。

相手が悪すぎた…とは思わない。
甲斐は力を持っている。

フルマークの敗戦…未勝利…そんな不名誉な結果が、
甲斐の実力に沿ぐうものかと聞かれれば、答えはNOだと思う。
 

甲斐さん…このままじゃ僕、またバカにされてしまうよ。
まだ、しつこく言うから…甲斐は有望選手だって、まだまだ言い続けるから…。
どうかその強さを、リングで証明してほしい。

この日の負けはB級に上がる為、そしてA級に上がる為の負け。
 
 

 

【48Kg契約4回戦】
村松 政実(松田) vs 冨田 真(HEIWA)

・村松 政実 6戦4勝2敗
・冨田 真 11戦4勝5敗2分 サウスポー
 

村松は大幅負越しの井上 ヨシアキ(三河)に敗北後、リベンジ、ラバーマッチと勝利して4勝。
井上は戦績こそ悪いが、フレームを持ったかなりやりにくい相手。
その井上との戦いにきっちり白黒つけた村松を僕は評価したい。

対する冨田は、前戦で日本ランカーに善戦。
リング上を蛇行したり迂回したり…そんなステップで相手に飛び込んでいく姿が特徴的。
刈谷あいおいホールの2F通路から見ていると、
その特殊な移動パターンが、まるで魚雷のように見えたりする。
いつか、後楽園の玄人マニアたちに、バルコニーから見てほしい選手。
 

二人はB級の資格があるはずだが、この試合は4回戦。
1日の興行でラウンド数の上限が決まっていることから…なのだろうか。
この試合は6Rで見たかった…。
 

1R、静かな立ち上がりとなった試合。
ラウンド中盤あたりから、冨田が飛び込むように長い距離を一気に詰めて
ワンツーを叩き込むシーンが目立ち始める。

対して村松はクリンチ際での攻防など、密着した距離でのやり取りで巧さを見せる。
この辺りは長身選手との戦いが続いたことが効いているか…。

お互いにペースを譲らないままのラスト10秒。
冨田が強烈な右フックをヒットさせラウンド終了のゴングを聞く。
 

2R、冨田が村松の左に合わせた左フックをカウンターで撃ち込めば、
村松は密着した場面で、離れ際の左フックを叩き込んで反撃。

一進一退の攻防に、会場のボルテージが上がり始める。
小気味いいスピードに乗った二人の攻防は確かに見ていて気持ちがいい。
 

3R、ラウンド序盤、フットワークを使って出入りして、村松を空転させかけた冨田。
いよいよ冨田の真骨頂かと思いきや、村松は強引に密着した展開に持ち込む。
しかし、冨田はボディを効かせて、密着した距離でも優勢に立ち始める。

上も下も聞かされてこのラウンドを終えた村松…。
判定では若干不利か…。
 

4Rのゴングが鳴ると、意を決したように撃ち合いに挑んでいく村松。
対して冨田は、このアタックを受けて立つ。
お互いのプライドがぶつかり合うような根性戦となった4Rの3分間。
 
 

39-38、39-37、38-38…

2-0の判定で、勝者は冨田。
マイジャッジは39-37で冨田。
 

冨田…前の試合もそうだったが、彼の試合は観客の心をつかむ。
小気味いい試合展開、そして真っ向からやり合うときはやり合う。

根性とか、ハードパンチとか…
そういった定番の人気要素ではないが、胸の透くようなテンポを持っている。
 

この試合…一度は効かされて失速した村松が見せた4Rの根性アタック然り、
魅力的過ぎる試合内容だった。
うん…やっぱり6Rでやるべき試合だよ、これは。
もっともっと見ていたかった。
 
 

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