2026/7/26 -愛知・刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フライ級6回戦】
宮元 陽汰(江見) vs 村松 政実(タキザワ)
前の手の攻防から立ち上がった試合。
テクニカルでスピーディな戦いが繰り広げられる。
踏み込んで大砲につなげる数は村松が多いか。
2Rに入るとテンポよく手数を増してくる宮元。
ハンドスピード豊かに村松を襲うが、村松は撃たれてもその後を必ず撃ち返して捉え返す。
しかし、撃ち合いが増える中、宮元が回転のいい手数で村松を上回っていく。
3Rに入ると、コンビネーションの撃ち終わりを狙う村松に対し
宮元は連打を撃った後にはくっついて村松の拳を外す。
もつれ合いながら、右ストレートを叩きこんだ宮元。
村松は前のめりに手を突くダウン。
4R、ダメージを抱えながらも向かっていく村松。
強烈にボディが入っても引かずに堪えて撃ち合おうとする。
襲い掛かる宮元…圧倒する展開の中で、もらってももらっても、
手を出す隙を与えてもらえずとも、足は下がらず踏みとどまり続ける。
会場に響く政美コール、宮元は完全アウェイの空気感の中、着実に村松を追い込んでいく。
もう大勢決したか…そう思える中で始まった5R開始直後には、村松が右を叩きつけて意地を見せる。
両者体力の消耗激しい試合、最終ラウンドを控えてこのラウンドは膠着。
そして迎えた最終ラウンド、両者出し切るように激しく撃ち合う。
宮元の強烈なボディに動きが止まる村松。
パンチをまとめる宮元に、セコンドからタオルが投入。
TKOタイムは6R 1分27秒
村松は決して強い選手ではない。
ただ、ブランクも含めて、プロのリングで様々な局面を戦ってきたボクサーだ。
そんな男が全身全霊で21歳の若者に襲い掛かった。
自分がプロのリングで積み上げたすべてをぶつけにいったような戦いぶりだった。
試合後、ファンたちの前で、引退を宣言した村松。
「そりゃそうだ」と思えた。
これで燃え尽きられなきゃ嘘だ。
そう思えるくらいに村松はこの試合で出し尽くした。
それをはじき返した宮元。
この決して軽くない勝利でA級へと昇格していく。
今後、より強い相手たちが待ち構えるA級戦線だが…
かなぐり捨てて向かってくる相手にどれだけ出会えるだろうか。
この勝利を大事にして欲しい。
そしてここまで賭けた相手を破った自分を誇りに思ってほしい。
引き上げていく宮元に、そんな思いを抱いた。
より高いグレードでの勝負…この戦いを踏まえてより強くなる宮元を楽しみにしている。
宮元 陽汰 9戦5勝4敗
村松 政実 11戦5勝(1KO)6敗
【ミニマム級6回戦】
赤塚 翔(名古屋大橋) vs 山田 啓斗(ワールド日立)
鋭くジャブを突く山田に対して、頭を振りながら詰めていく赤塚。
ガードを高く置き、相手のパンチをブロックしながら小さく細かく捉える。
至近距離では痛烈に左フックを叩きつける山田。
常に前に出る赤塚に対し、下がりながらもジャブを突く山田。
これをうまく外しながら近づいていく赤塚。
撃ち合いは互角か…相打ちの次が出る分赤塚のほうが印象がいいか。
中盤にはボディで削りに行く赤塚。
豪快に襲ってくる山田だが、対して赤塚は何度も何度もボディを重ねる。
近づくまでに鋭くパンチをまとめる場面を作る山田だ。
赤塚はそのまま接近してボディをねじ込んでいく。
ボディから赤塚が押し込んでいく場面も目立ち始める。
拮抗した試合は、展開を変えぬまま試合終了のゴング。
マイジャッジは59-55で赤塚
58-56×2、57-57の2-0で勝者は赤塚
配信のコメント欄では山田支持の声も複数あった。
それだけ山田は丁寧にジャブを突き続けた。
観戦者の間ではすべてのラウンドで採点が割れた試合。
接戦になれば、ジャッジ席に誰が座るかの運。
その運の中で少しでも確率を上げていくのがボクサーにとってできること。
その確率の取り合いで、赤塚が勝利した。
しかし、その力は拮抗していた。
この試合でA級ボクサーとなった赤塚に、接戦を演じた山田。
山田がA級でも戦える選手と言うことを示したようにも思える。
粘り強く、B級戦線を乗り越えてほしいと思えた。
そして…赤塚目線で言えば、久々に赤塚らしいと言える試合を見た。
しつこく付きまとい、粘って粘って削り取る…。
そんなボクシングがだったはずが、ここ数戦では相手より先に動きを落とすこともあった。
この試合では赤塚にフィジカルとスタミナの上昇を感じた。
その肉体を練り上げて強さを増したようにも思う。
極論、詰めて手を出す…そんな単純でシンプルなボクシングだからこそ
それを成すには、それをこなす肉体が必要になる。
誰にでもできるが、誰にでもできるわけではない。
連敗を喫し、新しいことをやるわけではなく、
自らのボクシングを増強させてB級戦線を乗り越えた。
そもそも4回戦の頃はこんなところまで来ると思えなかった選手。
バージョンアップを繰り返して辿り着いた場所。
そんな赤塚らしい成長の仕方だとも思えた。
赤塚より強い奴はいくらでもいた。
でも結局、名古屋大橋生粋の選手として初のA級になったのは赤塚だった。
「パンチがない、才能もない、どんくさい、ペチペチボクサー」なんて言う人もいた。
それでも、しつこく削るボクシングでボクサーとして生き抜く道を切り開いた。
これからより厳しい世界、赤塚が赤塚らしく強くなっていく姿が楽しみだ。
赤塚 翔 13戦6勝(1KO)6敗1分
山田 啓斗 12戦4勝(1KO)7敗1分
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