2022/10/23 -静岡・浜松市雄踏総合体育館- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

【ウェルター級4回戦】
鈴木学(西遠)　vs　上村健太(緑)

鈴木学　デビュー戦
上村健太　4戦2勝(1KO)1敗1分

フレームで上回る上村が長いジャブを突いていく。
時折左ストレートでも鈴木の顔面を捉える中、
鈴木のパンチが届かない距離を維持し続ける。

鈴木は距離が遠く、顔面にはパンチが届かず、いくつかボディを強烈にえぐる。

2Rに入り、状況を打開しようと鈴木がグイグイと詰め始める。
いくつもいくつもジャブを貰いながら、強引に詰めては強烈に右を叩き込み始める鈴木。
いずれも威力ある危険な一撃。

鈴木が主導権を握るか…と思えた場面、
踏み込んだ鈴木に、上村のコンパクトな左フックが刺さる。

意識が飛んだか、一瞬フリーズした鈴木。
ここを逃さず猛ラッシュを仕掛けた上村。
一気に責め立てられる中、いったんはクリンチで逃れたモノの
仕切り直し後、上村の左フックを浴びてグラつくと、ここでレフリーがストップ。

TKOタイムは2R 1:58

フレームで上回る相手に対し、飛び込んで危険な右をいくつも浴びせた鈴木。
デビュー戦で昨年の中日本新人王を相手にし、もしやの期待を抱かせた。
しかし、そのアタックを上村がコンパクトな一撃でねじ伏せた。

ボクサー定年まであと僅か、新人王を獲れば現役を続けられることとはなるが
それも消防士という職業からは定期的に試合があるトーナメントは難しいかもしれない。

上村に相手にして、もしやの期待を抱かせることができる選手。
今後もリングに上がるのであれば、数多くはならないであろうその試合、
一つ一つを噛み締めるように観戦したいと感じる。

まさに面目躍如。
やっかいな相手に見えたが、入って来るところに突き刺した左フック、
そして効いた瞬間に、一気に仕留め切った判断。

思っていた以上に成長スピードは早く、強い選手になって来たように思える。
今年は棄権で涙を飲んだ新人王レース。
来年、満を持してエントリーして欲しいと感じる。
このままのペースで伸びれば、全日本まで届くかもしれないと感じさせてくれた。

時弘将志　6戦1勝(1KO)3敗2分
森泉正巳　17戦5勝(4KO)11敗(4KO)1分

ゴングと共に突進するファイター森泉。
時弘も迎え撃つ。
とにかく前進する森泉に対し、じわりじわり下がりながら
撃ち込むスペースを作って撃ち合う時弘。

的確にヒットさせ、ヒット数では圧倒的に上回る時弘だが、
押し込まれていると見られれば印象は変わる。

お互いガードを固めながらのインファイト。
腹を削り合う場面が目立っていく。
2R終盤、時弘の強烈なボディが森泉の鳩尾を襲う。

森泉が消耗するかと思えたが、ファイターとして18戦を戦い続けて来た森泉。
信条とも見える前進を止めることはない。
前へ前へ、しつこくしつこく、ラウンド終盤を手数で上回って見せる。

森泉をかわしてしまえばポイントを獲っていくことの難易度は下がるかもしれない。
ただ、時弘は森泉と真っ向から撃ち合う…森泉が最も強い場所で。

壮絶な削り合いが繰り広げられる中、ボディがかかなり効いたか、
森泉はラウンド終了後には僅かに足を引きずりながらコーナーに引き上げるように見える。

ヒット数、クリーンヒットでは圧倒的に時弘。
どんなに痛めつけられても、しつこくしつこく森泉の拳は時弘を襲い続ける。
壮絶な12分間…試合終了のゴングが鳴る。

マイジャッジは40-36　時弘

39-37、40-36×2

3-0　勝者：時弘

常に前へ、森泉の真骨頂。
どれだけ削られても一切下がらず手を出し続ける。
時弘の右オーバーハンドは数々の有望選手を苦しめたシロモノ。
決してパンチがないわけではない。

時弘のパンチをどれだけ浴びても、森泉はこれまで通り、森泉を貫いた。

それを真っ向から受け止めての時弘の戦い。
この日の森泉は強かった。最も強い森泉とやり合った。
一時は4回戦を無敗で6回戦へ駆け上がった男。

かつて4回戦を無敗で駆け上がった男、強い強い森泉を引出し、
さらにその上を行かんとするような戦い。

時弘、中日本のリングでは初勝利。
長い長いトンネルを抜けた壮絶なファイト。
それは強い時弘を脳裏にこびりつけるのに充分なものだったように感じる。

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