2022/03/27 -愛知・刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2022/03/27 -愛知・刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【56.5kg契約6回戦】
溝越 斗夢(緑) vs 二瓶 竜弥(DANGAN郡山)

溝越 斗夢 12戦8勝(4KO)3敗1分
二瓶 竜弥 9戦6勝(1KO)2敗1分


1R、ガードを固めてジャブを突きながらグイグイと前に出て来る二瓶。
しっかりと距離をとり、足を使いながらボディを突き刺す溝越。
ラウンド中盤にはガード脇から右を捻じ込む。
はっきりとした被弾はないまま、溝越がしっかりとアウトボックスした立ち上がり。


2R、より圧力を強めた二瓶。
前のラウンドより距離が接近する分、左が当たる頻度は増えるが、
その分、溝越のボディも強烈に刺さる。

手数では二瓶が大きく上回るが、その拳は空を切る場面が多い。
しかし、二瓶の前進は止まらない。
それしかないからこそ、徹底できる強さを感じる。


3R中盤以降、溝越が単発ながら右強打の頻度を増やす。
撃ち込んでは離れを繰り返す中、二瓶の拳が当たる場面も増えるが
ダメージのありそうな被弾はほとんどなさそうにも見える。
ひらりひらりと溝越が二瓶をいなし続ける。


4R、後半に入り、より圧力を強める二瓶。
鼻血を吹き出し苦しそうに見える溝越。
一気に手数が減った溝越に対して、二瓶が勢いを増す。
上へのパンチは溝越がかわし、二瓶はガードで受け止める。
はっきりとヒットするのはお互いにボディ。


5R、少し動きが落ちてきたようにも見える溝越。
変わらず、出続ける二瓶。
ようやく強いヒットが増えて来るが、
逆に溝越の強打が二瓶の顔面をえぐる場面も増える。


6R、最後まで足を使い続ける溝越。
時折飛び込んで二瓶を捉え、仕事を完遂。
二瓶もまた、最後まで追いかけ続けて試合終了。

お互いに自分のやるべきことを全て終え、判定を待つ。

 

 

アグレッシブと手数では二瓶だが…。
マイジャッジは58-56で溝越。


一人目のジャッジは58-56で溝越。

三者三様なら一人ずつ採点のコールはされない。
割れたのか…少し驚く。


二人目のジャッジは58-56で二瓶。

溝越は不可解な表情。
やるべきことはやり切った。
全てうまくいったはず。


三人目のジャッジ…55-59で二瓶。


2-1で二瓶の勝利。
リングに突っ伏して全身で喜ぶ二瓶。

どんな相手に対しても、ガードを固めてジャブを突きながら詰める。
それを評価してもらえるかどうかはジャッジ次第。
この試合は、二瓶のボクシングがしっかりと評価された。

何より己を徹底的に貫いた。
それしかないからこそ、その道を脇目もふらずに突き進むのみ。
一本道を歩く男の強さがそこにあったと思う。


対して評価されなかった溝越。
当然、納得いかないリアクション。
判定が出た瞬間、トレーナーと一緒にリングにうずくまった。
何もかも全て思惑通り、ただ判定結果だけが逆についた。

手数では二瓶が上回った、前に出続けたアグレッシブは二瓶だった。
ただし有効打は溝越だったように思うし、単純なヒットでも上回ったように思う。

二瓶の勝ちに転んだことに関しては理解できなくはないが
判定に納得がいかないという声も理解できる。
僕自身もこの判定にはピンと来ない。

もう少し手数があれば…といったことだろうか。
しかし、ポイントをピックするには充分にパンチを当てていたと思うし
逃げ回ったわけではなく、しっかり踏み込みリスクを負って二瓶を捉えていた。


観客が引き上げる最中、ジャッジ席の前に座り、抗議する村上トレーナーの姿があった。
一番悔しいのは選手、その言葉を代弁するように、思いのたけをぶつける。

溝越はアウトボクサーではない。
撃ち合いの中でカウンターを選んで相手を沈める試合を何度も見せて来た。
戦術ミス、判定の読み間違い、責を求められるとすれば、コーナーだろう。
溝越は作戦通り、思惑通りのことを完遂した。

選手が全てをやり切ったうえでのこの結果の悔しさは尋常じゃないだろう。
最後、自らの拳をリングに叩き付けて引き上げていった村上トレーナー。
真剣だからこそ…見ていて泣いてしまいそうになり、慌てて会場を飛び出した。


溝越に対して思うことは、ただ、腐るなと。

「喧嘩はしてもいいけど悪いことはするな」

父の教え通り、盗みやいじめのような悪いことはしなかった。
でも、喧嘩はするので素行不良と捉えられ、
絶対にしないハズの盗みの疑いをかけられることもあった。

キャリア初期はヤンキーボクサーとして日の目を浴びたことで、
ネット上で理不尽な罵倒にさらされたこともあった。

溝越から見れば、この判定は理不尽に感じられるだろうと思う。
ただ、これまでもずっと理不尽に耐え、乗り越えてきた。
そんな溝越に魅了されているファンが、紫の溝越Tシャツを着て溝越を応援している。

ここで腐ったら、築いて来た溝越ブランドが台無しだ。


これで4敗目、今時点、溝越は世界最強でもなければ日本ランカーでさえない。
でも、溝越じゃなきゃダメ…そんなファンが沢山いる。
それがメインイベンター。

もう、溝越は立派なメインイベンターなんだ。

 

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