2023/1/28 -愛知・名古屋国際会議場- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【58Kg契約6回戦】
飯見 嵐(緑) vs 山内 翔貴(本田フィットネス)
飯見 嵐 12戦7勝(7KO)5敗
山内 翔貴 8戦4勝(3KO)4敗
1R、足を使いながらワンツーを撃ち込む山内をじっくりと見る飯見。
しっかりガードしながらだが、バランスを崩すと山内が一気に出る。
ブロッキングを駆使する飯見だが撃ち返す隙を与えてもらえず、防ぎきれずに被弾が重なる。
2R、ジャブの相撃ちで足元が揺れる飯見。
1Rのダメージが蓄積してしまっているか…。
中盤以降撃ち合いとなると、山内の勢いが止まらない。
強打の飯見の拳を恐れず、愚直に突き出されるワンツーが勢いを増す。
3R、開始から一気にワンツーを纏めていくと、重なる被弾にレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは3R35秒。
様子見の段階でダメージを受けてしまった飯見。
ボクシングをする時間を与えてもらえないまま、威力と勢いのあるワンツーにやられてしまった。
以前、刈谷に訪れたときは完全なアウトボクサーだった山内。
大きく成長させた攻撃力に驚きだった。
ペース配分的に後半にチャンスがあるかとは思えたが、
仮にあのハイペースを後半まで続けられるとすれば…かなりいい位置まで登っていくように思える。
今後、注目したい選手の一人だと思えた。
移籍初戦は何かをする前に試合が終わってしまった飯見。
一度当たり始めたときの強さは驚異的な選手。
この日は叶わなかったが、その魅力を中部のリングに叩き付けてくれる日を楽しみにしている。
■IBF世界ライトフライ級挑戦者決定戦
【ライトフライ級12回戦】
矢吹 正道(緑) vs ロナルド・チャコン(ベネズエラ)
矢吹 正道 18戦14勝(13KO)4敗
ロナルド・チャコン 30戦28勝(20KO)1敗1分
試合開始直後、右クロスでチャコンが先制。
謎とされたチャコンの実力、まずはれっきとした世界ランカーであることを示す。
様子見の矢吹に対して、チャコンは積極的。
しかし、ラウンド中盤以降には矢吹がジャブと右クロスを浴びせる。
ラウンド終了直前、チャコンの左フックで矢吹の顔面がのけぞる。
2R、ジャブ、右クロスでチャコンの入り際を叩く矢吹。
しかし、チャコンも時折クロスをかぶせる。
チャコンが接近してコンビネーションをぶつける場面もあり。
拮抗したラウンドとなる。
3R、矢吹がそろそろ見切って来たか。
ジャブで制しながら入ってくれば撃ち終わりを捉える。
目がいい分、かわすタイミングがギリギリになりがちな矢吹。
スリリングに見えても上へのまともな被弾はない。
上が当たらないチャコンだが、忘れずボディはしっかりと叩く。
4R、ジャブが中心だった矢吹の攻撃がバリエーションを増す。
ワンツー、左ボディ…精度の高いパンチでチャコンを襲っていく。
右のクロスを狙い続けるチャコン…タイミングを間違えばの恐怖感は常にある。
5R、チャコンの空転する時間が徐々に徐々に増えていく。
ボディは当てさせても、上への被弾はほとんど許さない矢吹。
ほぼ左で制していく。
6R、矢吹が繰り出すパンチの多くはジャブだが、
時折振り出す右では確実に強烈にチャコンを捉えていく。
チャコン側からすれば攻略の糸口が見えない状況。
7R、チャコンが効いた素振りを見せると矢吹が前に出始める。
いくつも強烈な右を浴びせられ、最後は右の撃ち下ろしで転がるようにダウン。
立ち上がったチャコンだが、またも右の撃ち下ろしで押しつぶされるようにダウン。
カウント8で立ち上がり、ラウンド終了のゴング。
8R、開始直後から仕留めにかかる矢吹。
ラッシュの中で撃ち合うチャコンだが、その拳はほんの数cmのところで空を切る。
そのままラッシュに飲み込まれてこの日、3度目のダウン。
打開の糸口がない展開、積み重なったダメージ。
あきらめておかしくない状況だが…チャコンは立ち上がる。
絶望的な状況に立ち向かわんと、再開に応じる。
再開後…激しいラッシュの撃ち疲れか、矢吹の勢いはいったん収まる。
チャコンにとってチャンスだとも思えたが、矢吹は致命的な被弾をもらわない。
逆に強烈なボディでチャコンに反撃の勢いを与えない。
9R、試合はいったん落ち着く。
入るに入れないチャコンに対し、近づいた瞬間をカウンターでえぐる矢吹。
強烈な右クロスを叩き込んでラウンド終了のゴング。
10R、ジャブを突き続け、ダメージを植え付けていく矢吹。
時折ボディストレートを突き刺すチャコンだがそれ以上にはつながらない。
中盤には矢吹の左アッパーでぐらつき、その後何度かスリップを繰り返す。
もう踏ん張りがきかないか。
11R、上も下も効かされながら食い下がるチャコン。
ボクシングは何が起こるかわからない…
しかし、その瞬間は耐えた者にしか訪れない。
何度もグラつき絶望的な展開ながら、試合をあきらめないチャコン。
ラウンド終盤、矢吹の右ストレートが顎を貫くと、
ふら付いたチャコンに矢吹がラッシュ…ここでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは11R 2分35秒
悔しそうな表情、まだやれたといった表情を浮かべたチャコン。
打開策を失い、ただただダメージを刻まれる展開の中、まだあきらめていなかった。
試合途中からチャコンは矢吹ではなく、目の前に広がる絶望と戦っていたようにも見えた。
その戦いはレフリーが割って入るまで…最後までチャコンは戦い続けた。
グッドファイター。
しっかりとした実力がありながら、ベネズエラ国内での試合にとどまっていたチャコン。
政情不安の母国で、海外で試合ができるチャンスも限られているだろう。
ベネズエラへ海外から選手を呼ぶことは通貨価値的にもかなり難しい。
この試合が、彼にとって唯一のチャンスだったかもしれない。
彼もそれなりの時間と人生をかけてこのリングに上がってきたはずだ。
叶うことなら、もう一度、二度…彼にチャンスがあってもいいと思えた。
試合中に両拳を痛めた矢吹。
拳を傷めるのはこれが初めてではない。
ハードパンチャーであるが故でもある。
そんな中で、左で相手を完全に制し、要所でダメージブローを撃ち込む…。
これ程までに恐ろしい勝ち方があるだろうか。
1Rで試合を終わらせるよりもよっぽど無欠感を知らしめられたように思えた。
まずは怪我の回復…そして、いよいよ二度目の世界獲りへ。
俺たちのヒーローが、またその名を世界戦線に浮上させる。
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