2017/11/19 じゅうろくプラザ-ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【56.0kg契約8回戦】
佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ) vs クーキアット・ソーケーオカムシー(タイ)
・佐伯 瑠壱斗 7戦6勝(1KO)1敗
・クーキアット・ソーケーオカムシー 17戦11勝(4KO)6敗
先に入場するクーキアット。
セコンドがトップロープを上から押さえつけ、大股でトップロープを跨ぐ。
ムエタイの「戦いの神様から力を授かる」儀式。
ガッチガチに仕上がった体に嫌な予感がしてしまう。
そして…メインイベンター佐伯の入場。
地元の歓声を受けながら、新たに岐阜を背負う男がリングに上がる。
“岐阜のニューゴールデンボーイ”佐伯 瑠壱斗。
1Rからガードをしっかり固めるクーキアット。
腰も落とさず、ぬぼうっと突っ立つ姿に、”やる気なし”のワードが頭をよぎる。
襲い掛かった佐伯の攻撃をガードを固めてやり過ごすクーキアット…
佐伯の攻撃がひと段落した次の瞬間、ハイスピードのコンビネーションが佐伯に向かって飛ばされる。
これで佐伯は怯まずガードの上からパンチを叩き込んでいくが、
密着すると二人が対峙する狭い空間にアッパーを滑り込ませるクーキアット。
このタイ人…かなり強い。
2R、ガードが高く、上体が異常に柔らかいクーキアット。
しっかりディフェンスしながら、密着すると精度の高いアッパーで佐伯の顔面を襲う。
止まった状態から急に放たれるパンチのスピードも凄まじく、緩急がえげつない。
3R、顔面への攻撃をいなされ続けてきた佐伯だが、強烈なボディを脇腹に叩き込んで盛り返していく。
ボディが撃てる距離は近い距離…被せるようなフックや、
撃ち終わりのアッパーで佐伯の顔面が跳ね上がる瞬間も目立つ。
腹と顔面の叩き合い…。
4R、このラウンド前半、コンタクトが減る。
中盤あたり、強烈なボディを叩き込んだ佐伯に会場は徐々に熱を帯びる。
力を込めて強烈なボディを叩き込む佐伯に対し、クーキアットはコンビネーションで顔面を襲う。
この段階から、何を取るかでポイントが割れそうな気配を感じる。
5R、ボディへの意識をより高くしていく佐伯。
明らかに効いていそうだが、クーキアットはおくびにも出さず、
変わらぬペースで強烈なアッパーを放ち続ける。
6R、ロープに追い込んだチャンスでも、クリンチで絡め取るなどいやらしさも見せるクーキアット。
しかし、終盤には佐伯がロープ際で放った右ストレートでクーキアットが揺れる。
判定がどう流れるかは不透明…ここでしっかり仕留めたい…後半に向けて少しでも削ぎ落していきたい所。
詰めていく佐伯だが、仕留めきれずにこのラウンドが終了。
柔らかさにいなされる。
7R、ボディを狙って接近する佐伯。
しかし、その距離はクーキアットがアッパーを狙う距離。
腹に耐え、強烈なアッパーを滑り込ませるクーキアット…跳ね上がる佐伯の顔面。
この試合、終始見続けてきた形。
8R、お互いに撃ち合った二人。
どちらも一向に落ちることなく最終ラウンドまで…。
残り30秒はスリリングな撃ち合いが加速、歓声の中で最終のゴングが鳴り響く。
マイジャッジは77-74 クーキアット
判定が発表される。
78-75、78-75、77-75
3-0
勝者:佐伯 瑠壱斗
新たな看板ボクサーの門出に安堵と歓声が入り混じる会場。
ボディをどこまでしっかり採るのか…そこで採点が分かれそうにも思える。
どちらかがらはっきり獲ったラウンドは、佐伯が1つにクーキアットが2つに見えた。
明確なラウンドが少なく、どちらに流れてもおかしくない試合。
マイジャッジと逆にはついたが、納得の範疇だと思える。
何よりも、この日リングに上がったタイ人は異常なほどに強かった。
いいボクサーを見れた…そんな思いが強い。
もう一回来ないかな…クーキアットに、激励賞が出したい。
フォルムもいやらしさもひっくるめて、カッコよかった。
そしてそんな相手に立ち向かった佐伯。
ジャッジの顔ぶれによっては、逆に出てもおかしくなかった試合だとは思う。
勝てば極楽、負ければ地獄。
勝つか負けるかわからない…そんなハードな試合を繰り返すほど、そういった試合は増えるだろう。
ポイントは中差だが、拮抗した試合だった。
こういう試合を、「生き残った」と言うんだと思う。
顔面の守りが固いクーキアットに対し、ボディを撃ち込んでいった佐伯だが、
そこに待っていたのはクーキアットのアッパー。
もらってももらっても、恐れずに踏み込んでいった。
正直、この日の勝ち筋はそこしかなかった気がする。
勇気で勝ちとった勝利…僕にはそう見えた。
帰り支度をしていると、杉山 令耕(岐阜ヨコゼキ)と久保田 祐介(岐阜ヨコゼキ)が挨拶に来てくれる。
岐阜の大スター、杉山とは緊張しながら…
久保田には…久保田は強いんだよ!みたいなことを言った気がする。
そのあとのお酒で記憶が流れてしまった…
負けて凹んでた久保田の顔だけは、頭にこびりついているけれど。
そのまま会場を離れ、岐阜駅付近へエゲツないマニアと飲みに繰り出す。
酒が苦手な自分はわずかに2杯で、夜中3時のようなテンションになってしまう。
いろんな話をした。
ほんとに面白かった。
中日本で戦う4回戦ボクサーの話で盛り上がれる。
…本当に最高。
この人、本当に見てきているから、僕がついて行けないような話題がいっぱいあって、
でもそれ以上に凄いのは、こちらのレベルに話を落としこめるところ。
知識比べなんか一切しない、ただボクシングの話で楽しむばかり。
もちろんいろんな愚痴もあるけどさ。
久保田は6回戦で見たいよ…とか。
で、早めに切り上げて、今に至る。
気持ちよさを通り越して、若干気持ち悪くなりながら…
頭の中で一日をリピートしていく。
久しぶりのボクシング観戦。
待ちに待った…って感じが強くって、楽しかった。
そう言えば、岐阜乱ママ会のピンクの法被…二人くらいしかいなかったよな。
あれがぐわぁぁぁっていたりすると、それだけで雰囲気が作られる。
岐阜のボクシングが全国に誇れるモノは、ファンの熱気だと思うの。
僕にとって乱ママ会の姿はもはやボクシングの一部で…大好きなんだけどなぁ。
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