2021/06/20 -刈谷・あいおいホール- 第3試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2021/06/20 -刈谷・あいおいホール- 第3試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
佐藤 公亮(とよはし) vs 岩下 千紘(駿河男児)

佐藤 公亮 デビュー戦
岩下 千紘 デビュー戦 サウスポー

試合開始ととともにガードを高く上げて前に出て行く佐藤。

足を使って捌きながら強烈なボディを叩きつける岩下。
空いているところを的確に撃ち込みながら、まったく被弾しない。

一方的な展開…。
佐藤がバランスを崩した所に
岩下が後続打を叩き込んだところでレフリーが試合をストップ。

 

何もできぬまま終わってしまった佐藤のデビュー戦。
相手が悪すぎた…とも言える。
しかし、スタートがこういった試合でも、そこから強くなっていく姿に、
きっとプロボクサーとしての価値は産まれていくと思っている。
プロボクシングの魅力は、全戦全勝の世界に通用するボクシングだけではない。
様々なボクサー達が、各々の前に立ちはだかるものに立ち向かっていく姿こそ
客席に感動を与えてくれる。
彼がこれからプロのリングに、その雄姿を刻んでくれることに期待していたい。

 

被弾なし。
完璧な内容で決勝進出を決めた岩下。
相手と力の差があったにせよ、この内容はなかなかお目にかかれないもの。
とんでもない選手が現れた…全日本新人王候補と言い切ってしまっていいと思う。

ただし、決勝で対戦するのは宮崎 裕也(薬師寺)
こちらも全日本新人王候補と噂された村田 翼(和光)
引分けの勝者扱いで下して勝ち上がった猛者だ。

宮崎の前に新たなる強敵が立ちはだかる…。
そんな構図としても捉えられる。

彗星のごとく現れたニューフェイスとなるか…。
並みいる強敵を下して勝ち上がった者となるか…。
今年のこの階級の中日本新人王を得たものが、今年の主役になるようにも感じる。

 

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■中日本スーパーフェザー級新人王準決勝
【スーパーフェザー級4回戦】
森 啓介(タキザワ) vs 水谷 雄太(鈴鹿ニイミ)

森 啓介 1戦1敗
水谷 雄太 デビュー戦

お互いに鋭くジャブを飛ばし合う立ち上がり。
時間が進むにつれ、ロングレンジのパンチが
お互いに一番強くヒットしそうな距離感に…。
一発で試合が終わる可能性もある…背中がヒヤリとする緊張感。

捉える場面はお互いに強烈。
1Rはヒットでは森が上回ったか…。


2R、前のラウンドより手が出る二人。
いつ終わる判らない…その緊張感は増していく。

このラウンド、森の足が動いている場面では、
ジワりとペースが森に寄ったようにも思える。
しかし、水谷から先に手を出し始めると、捉える数で森を上回り始める…。


3R、これまで以上に激しくパンチを繰り出し合う中、
踏み込んだ水谷の右フックが炸裂し、ついにそのシーンが産まれる。
膝から崩れる痛烈なダウンシーン…なんとか立ち上がった森だったが、
再開後、右ストレートを浴びて腰を落としながらクリンチ。
ここはブレイクがかかったものの、再び同じシーンが訪れるとレフリーは続行を許さず。


TKOタイムは3R 1分22秒


紙一重だった試合。
チキンレースのような緊張感が漂った試合。
怒涛の殴り合いで熱くなる試合とは別種の、面白い試合だったように感じる。

強烈なパンチを幾度と浴びながら、
決して怯むことなく自らの拳を突き刺し続けた両者。

「イケない」よりはずっといい。
この試合を踏まえた森が、次にどんな姿で現れるのか。
楽しみにしていたいと思う。


勝ち上がった水谷は、決勝で優勝候補の花田 太一(HEIWA)と対戦。
キックのベース、これまでの試合経験の積み上げから花田有利とも感じるが、
水谷が一撃で主役をかっさらう可能性も否定できない。

どう想像しても、ヒリつく試合展開になりそうだと感じる。

 

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■中日本ライト級新人王準決勝
【ライト級4回戦】
深田 翔也(トヤマ) vs 中尾 公信(鈴鹿ニイミ)

深田 翔也 デビュー戦 サウスポー
中尾 公信 デビュー戦

両者のファーストコンタクト。
サウスポー深田の左フックが炸裂し、いきなり中尾が腰を落とす。
ダウン寸前…一気に攻めようとする深田に対し、
中尾は反撃の左フックを炸裂させて深田の体を泳がせる。
さらに左のカウンターを強烈に突き刺す中尾。

いきなりの大ピンチを反撃で切り抜ける。

一旦距離を取ろうとする深田に対し、ガンガン詰めるのは中尾の方。
中尾が押し込んで行くかにも思えたが、
深田が足を使って迎え撃つ形で、強烈なヒットを重ねていく。
しかし、中尾のアタックは止まず…。


2R、より勢いを強める中尾。
深田が乱戦に巻き込まれていく…。

詰められながらも的中率では深田が上回る、
強烈に被弾しているはずの中尾だが、前進は止まらず。
試合のテンポは中尾が作り出し…深田にペース配分をさせる余裕を産ませない。

試合が進むにつれ…、中尾のテンポに深田のスタミナが削られていく。


3R、被弾お構いなしの中尾。
完全に疲弊した深田は足を使って距離を置くが、ガードが完全に下がる。
コーナーに詰めた場面、中尾はラッシュを仕掛ける中、
深田が返す大きなパンチを次々と被弾。
しかし…止まらない。

中盤、削りに削られた深田は、中尾の押し出すような左で大きくバランスを崩してしまう。
これ以上は危険と見たか、その姿を見たレフリーが試合をストップ。


TKOタイムは3R 2分33秒。

 

詰められながらも、相手を強烈に捉えていた深田。
当て感も攻撃力もしっかりある選手のように思える。

結果としては深田のスタミナ不足と見ることもできるが、
終始相手のテンポに合わせる試合となれば、通常よりスタミナは消費するもの。

この試合は、中尾を褒めるべき試合だと感じている。

下がらずに攻め続ける。
ただそれだけのことが、相手をこれほどまでに削り取る。
決して中尾は速い訳ではない…しかし、休まない。
だからこそ、相手に休む暇を与えない。


超愚直型ファイターが、KO負け寸前から試合をもぎ取った。
決勝では、抜群のタイミングの左ストレートを持つ、山辺 蓮(市野)と対戦する。

デビュー戦ではペース配分を誤ったか、後半に失速を見せている山辺。
同じような姿を見せるのであれば…中尾は山辺の弱点を突きうる相手。
ただし、山辺の持つ左ストレートのタイミングは一級品。
そこに中尾が耐えうるのかどうか…もまた、試合を興味深くさせる。


愚直な中尾と華のある山辺。
三重県対決となる決勝は見どころ満載のカードとなった。

 

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中日本新人王決勝戦は8月8日。刈谷あいおいホールにて開催予定。

 

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