2025/08/16 -愛知・名古屋市露橋スポーツセンター- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
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【48.5kg契約4回戦】
大久保 颯(とよはし) vs 奥田 一星(市野)
動画 18:07 – 31:12
落ち着いて試合に入った奥田、鋭く速いジャブだが少し遠いか…。
そのジャブの撃ち終わりを狙う大久保、不意を突いたジャブもヒットさせる。
中盤、大久保がワンツーを出したところの右を出したところに奥田の左フック
これがカウンターで突き刺さって、大久保がダウン。
再開後、大久保が攻めてかかると試合は乱戦へ。
そんな中、奥田が右ストレートで大久保の顔面を跳ね上げて反撃ののろし。
2R、奥田は仕切り直し、落ち着いてジャブを突く。
斬って落とす狙いか、劣勢の展開でも攻めては出ず。
時折、大久保が鋭く踏み込んで捉える場面が目立つ。
ラウンド終盤には奥田が詰めて連打で捉える場面が頻発。
レフリーはしきりに割って入るタイミングを探す。
ストップも近いか…
3Rも、ジャブを出す奥田だが、届かない距離。
大久保が飛び込んでヒットを重ねていく中、奥田はカウンターの右ストレートを
突き刺してロープまで追い込むものの、大久保は撃ち合いで勝って押し返す。
リング中央、大久保の右がクリーンヒット。
奥田の腰が落ちたところで、レフリーが割って入った。
TKOタイムは3R 1分32
ジュニア世代から拳を磨いていた奥田。
ようやくのプロデビュー戦は厳しい結果となった。
現代の世界王者は幼いころからリングに上がった選手がほとんど。
しかし、幼いころからやったとして、途中、他競技からの転向組や
思わぬたたき上げの浮上もある。
様々な経路をたどりながら、強打達が入り乱れるプロのリング。
まずは洗礼を浴び、この選手もまた、その一員となっていってくれると期待したい。
今年の中日本新人王戦、初戦で敗退した大久保だったが、
オープン戦でその力をしっかりと見せつけた。
ジュニア世代から積み重ねた奥田に対し、ボクシング経験数か月でデビューした大久保。
経験値も、大きく差のあった身長差も覆した。
彼の強さは、それそのものが今年の中日本新人王トーナメントの険しさを示す。
3人がエントリーした今年の中日本ミニマム級の3番手。
来年の逆襲へ向けて…もう2026年新人王戦の物語は始まっている。
大久保 颯 4戦2勝(1KO)1敗1分
奥田 一星 1戦1敗
【スーパーフライ級8回戦】
■WBCスーパーフライ級ユース王座決定戦
藤野 零大(カシミ) vs 犬塚 音也(松田)
動画 51:09 – 1:36:58
身長は頭一つ分、藤野が上回るか。
入ろうとする犬塚をジャブと足で入らせない藤野だが、
中盤以降、より圧力を増した犬塚が攻め込んでいく。
ロープ、コーナーに詰まる藤野だが、駆け引きで上回り、
被弾はあるものの、迎え撃つ形で犬塚を襲う。
あの頑丈な犬塚がフリーズしたように見える場面も。
2R、犬塚が押し込んでいく中、数多く捉えるのは藤野か。
しかし、犬塚のしつこい詰めを次第に持て余し始めたかに思えた刹那、
犬塚の右フックがカウンターで刺さって痛烈なダウン。
再開後、攻め込んだ犬塚だが、撃ち合いの中で的確に捉えるのは藤野。
ダメージはそれほどないか、いったん試合が落ち着くっと犬塚なかなか入り込めず。
3R、犬塚が入ろうとするところに藤野の強打が刺さる展開。
タフな犬塚でなければダウンシーンに発展してもおかしくない。
犬塚が撃ち込むコンビネーションを外しながら、その中の一つにカウンターを合わせる。
藤野、圧巻の戦いぶりで展開を盛り返す。
4Rも展開は変わらずだが、至近距離に入り込んだ犬塚が
回転よくコンビネーションを叩く場面も。
藤野が効かせたように見えるビッグパンチでも、落ちる様子のない犬塚。
5R、強引に撃ち合いに行こうとする犬塚。
被弾恐れず撃ち合いに巻き込むと、回転よく藤野の顔面を襲う。
藤野の相打ち気味の一撃も強烈。
犬塚がダッキングした場面での藤野の左の撃ち下ろしが印象的。
6R、いったん両者のペースが落ち着き、押し合う場面が増える。
押し合いながらの回転では藤野が上回るか。
一進一退…きわどいラウンドが並んでいく。
7R、犬塚が連打で捉えれば、藤野もすぐさま連打を叩きこむ。
おとなしそうに見える藤野の血の気を感じる戦いぶり。
自分がダウンを奪われたシーンとよく似た攻防で押し返す。
消耗戦となった試合、連打で印象的な犬塚、一撃の印象がいい藤野。
8R、最後は両者押し合いながらの撃ち合いでスタート。
終盤には犬塚がいったん距離をとり、足の回らない藤野の攻撃をいなして試合終了。
犬塚はポイントリードと呼んだか…きわどい試合。
マイジャッジ
76-75 犬塚
公式ジャッジ
76-75 藤野
76-75 犬塚
77-74 藤野
2-1 勝者:藤野
最後は死力の戦いへとなった。
地力がある二人が死力を尽くした結果にも見えた。
お互いに自分のペースで走れない戦い。
拮抗したラウンドが続いたが、明確なラウンドの数で藤野が上回った内容が
そのままポイントに落とし込まれたようにも思えた。
ハッキリとした決着がついたライバル対決。
新人王戦で堂々優勝候補だった犬塚に対し、突如現れた藤野がドロー優勢点で勝ち上がった。
リマッチを目指した犬塚は、シビアな戦いに連戦連勝してこの試合を成立させた。
二人にとって2つ目の物語が決着した。
しかし、犬塚がこれで終わるような選手であればこの位置にはいないはずだ。
持ち合わせる華も相まって、中日本のリングの主役級ホープとなっているが、
名門中京高校時代から、強い仲間や後輩に囲まれ、その後塵を拝していた犬塚。
全日本新人王戦では同年に、高校の後輩、武藤 涼太(松田)が全日本新人王を獲得。
後輩に先を越された形になっている。
アマで気付いた土台、華々しい姿とは裏腹に、順風満帆ではなく雑草臭いのも犬塚だ。
どのみち、今の何倍も強くなった先にしか世界はない。
強くなるための負けなのであればそれは必要なもの。
そして、この負けが強くなる為だったと言える未来は、犬塚にしか作れない。
ライバルのいないボクサーズロードより、よっぽど幸せな道を歩いているはずだ。
その姿に大きな魅力があっても、気付いてもらえない選手もいる。
藤野の存在があって、犬塚の名前は大きくなっていく。
それは藤野も同じく。
この試合が二人のキャリアに刻まれたことが大きな財産となるはずだ。
大きな物語が一応の完結はしたものの、
藤野にとっても、犬塚にとってもキャリアの集大成はここではない。
二人とももっともっと強くなる。
藤野 零大 9戦8勝(4KO)1分
犬塚 音也 12戦10勝(4KO)1敗1分
【フライ級8回戦】
■日本フライ級最強挑戦者決定戦
坂井 涼(畑中) vs 浅海 勝太(MR)
動画 1:38:13 – 1:56:36
じっくり見ていく立ち上がりの坂井、ジャブを飛ばす浅海。
ラウンド中盤からは坂井もジャブを突き始めて左の差し合いへ。
ここは坂井が上回ったか。
2R開始早々、ボディから顔面へつなげる浅海、強烈な左フックで坂井が一瞬固まる。
フェイントを掛け合う中で、ボディを中心に叩く浅海と、多彩に左を滑り込ませる坂井。
息を飲むような技術戦。
3R、浅海が坂井のジャブを外し続け、テンポよく手を出していく。
密着した場面ではアッパーで坂井の顔面を跳ね上げる場面も。
見ながら探っているようにも見える坂井。
手数で差がつく分、浅海の方がヒット数も増えていく。
4R、坂井が積極性を増して攻める場面を作るが
浅海は上体も柔らかく、うまくいなしていく。
ボディへの連打から顔面を叩く場面も作る。
5R、浅海が入ってくるところを待ち構える坂井。
潜ってボディに連打を撃ち込む場面を作った浅海。
綺麗なワンツーで捉えた坂井。
坂井の右フックと浅海の左フックの相打ちも。
6R、鋭くジャブを突き刺す坂井。
踏み込んで連打で襲い掛かる浅海。
坂井はコンビネーションを浴びると同じようにやり返して見せる。
7Rも展開は変わらず。
際どい戦いとなっているが、常に頭を動かし続ける浅海。
まともな被弾はほどんどなく、競った展開を作り出す。
8R、攻め手出る坂井、撃ち合いになるが、回転のいい浅海は譲らず。
撃ち合いの中でも、ボディをおざなりにはせず、下から上へと持っていく。
派手さでは坂井か…ここも一進一退のまま試合終了のゴング。
マイジャッジ
77-75 浅海
76-76 ドロー
77-75×2 浅海
2-0 勝者:浅海
2年半ぶりに中日本のリングにやって来た浅海。
前回も畑中 建人(畑中)に1R差にまで迫る惜敗で力を見せたが、
明らかに強くなっての中日本再登場となった
常に頭を動かし続け、まともな被弾はほとんど食わなかった浅海。
特にジャブに対しては単発の被弾はあってもそれ以上を許さず。
ジャブを外すことの重要さは、ジャブを当てることの
重要さと同じであることを思い知らされたように思える。
坂井の高速コンビネーションも、最初のヒットがなく、発動せず。
柔らかく吸収するように頭を動かし続け、坂井のヒットは浅いものにとどまり続ける。
まるで狐につままれたような表情の坂井に、手ごたえのなさが感じ取れた。
丁寧に頭を振り続け、坂井を封じ込んだように見えた。
試合中の熱中症で自分からの仕掛けが叶わなかった坂井。
ただ、それでももしより多くジャブさえ当たれば、
待ちの体制になったとして坂井ほどの技巧があればなんとかできたようにも思える。
そして、頻繁に仕掛けられたとしてどうなっていたか…それはこの試合の中で見えていない。
浅海の応じ方次第ではそれでも適わなかった可能性もある。
いずれにせよ、試合中のアクシデントやコンディションは実力だ。
浅海が強かったことに疑いの余地はない。
日本ランカーともなれば、一癖も二癖もある選手たちがひしめいている。
そして、そんな中を勝ち上がった選手たちが上位ランカーとなる。
そんな選手が、この試合に徹底的に賭けてきた。
一つ感じたのは、浅海が坂井を強敵と認識していたと思えた。
無理はしなかった、勝つためだけに、勝ち筋にまっすぐ走った。
坂井の実力を評価していなければ、もっと雑になってもおかしくなかったハズだ。
さらには恐らく、相当な研究もして来たに違いない。
坂井は強い…知る者なら誰しもが認めておかしくない。
ただし、「相手を認める力」は浅海が上回ったのではないかと思う。
坂井が浅海をナメていたわけではないとは思う。
ただ、浅海のそれが、坂井を圧倒的に上回っていたと。
勝手な空想だが、浅海のボクシングからそれを感じた。
坂井が勝利すると思っていたファンも多くいるだろう。
この結果はアップセットと言っていい。
きっとこの先、坂井が勝負の場所に立つとき、浅海のような立場に立つことがあるだろう。
自分より強いと思われる相手を撃ち破ってその先があるもの。
その時のための、いい教訓を得たはずだ。
タイトル挑戦権と言う大魚を獲り逃した。
ただ、日本王座が最終到達点ではないはずだ。
まだ強くならないといけないという現実…その先に道はある。
まだ早かった。ただ、それだけだ。
そして、この試合を経て、そこに近づいてくれるはずだ。
ランキングや肩書は後退したして、
その引き換えに「強さ」という最も根幹にあるものを得てくれることを願う。
強いものが勝つのではなく、勝ったものが強い。
それを受け入れている姿に、坂井のこれからを強く期待していきたい。
坂井 涼 11戦9勝(5KO)2敗
浅海 勝太 27戦13勝(7KO)14敗
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