2022/09/10 -三重・四日市市総合体育館- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2022/09/10 -三重・四日市市総合体育館- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【50kg契約10回戦】
矢吹 正道(緑) vs タノンサック・シムシー(タイ)

矢吹 正道 17戦13勝(12KO)4敗
タノンサック・シムシー 24戦24勝(22KO)


1R、緊張感高く見合う中、いきなりお互いの右が交錯し、さらに返しの左も交錯。
両者顔面には届かずも会場には大きなどよめき。

矢吹はロープを背にしながら、
タノンサックが踏み込むタイミングにパンチを合わせるシーンを何度も作る。
しかし、タノンサックは貰いながらも大きな右を振ってくる。


2R、詰めようとするタノンサックに左を突き刺す矢吹。
しかし、タノンサックは止まらず、左右の驚異的なフックを振りながらグイグイと突進してくる。
もらっても全くもらった素振りを見せないタノンサック。
ハードパンチャーのハズの矢吹のパンチが軽く見える。

中盤、強烈なジャブでタノンサックの顔面を跳ね上げた矢吹だったが
お構いなしに前進して来るタノンサックと撃ち合いに。
タノンサックの左フックが強烈に襲うものの、
乱打の中の左フックに被せた右フックでタノンサックがダウン。

足元をグラグラさせながら立ち上がったタノンサック。
再開後、矢吹の猛烈なラッシュを浴びながらも、しっかりと力のこもったパンチを返し、
雑に攻めれば逆転のリスクも感じさせる反撃で窮地を奪出。


3R、一旦仕切り直すようにリスタートした矢吹。
大きく振るタノンサックの左フックに、矢吹はかわしながら左フックをカウンターで叩き付ける。
決して引かず詰め続けるタノンサック、ラウンド中盤にはワンツーで矢吹の顔面を跳ね上げる。
タノンサックが踏み込んだ所に左フックを引っかけてやり返す矢吹。


ジャブを突き合う4R、お互い少し距離が遠いか、警戒し合っているような印象を受ける。
そんな中、タノンサックの強烈な右ストレートが矢吹を捉える。
緊張感の高いラウンド、タノンサックのパンチを矢吹がガードで受け止める場面が目立ち始めた矢先、
タノンサックのコンビネーションを躱して、左を撃ち込んでみせる。

ほとんど明確なヒットがなかったラウンド。


5R、矢吹が左フックで強烈に捉えたと思った矢先、タノンサックは左アッパーで相打ちに持ち込む。
フェイントの応酬の中で、タノンサックが右ストレートを撃ち込むとそれに合わせた矢吹のボディ。
矢吹の大きな左フックの撃ち終わりにタノンサックがアッパーを撃ち込めば、
ラウンド終盤には矢吹が踏み込んだタノンサックに右アッパーをやり返す。


6R、グイグイ押し込んで行くタノンサック。
矢吹の返すパンチを被弾しながらも、豊富な手数で多くのヒットを奪っていく。
右フックでタノンサックがぐらつくと一気にラッシュを仕掛け、
押しつぶすようにダウンを奪取。


7R、後がないタノンサック。
このラウンドに勝負をかけるように前進するタノンサック。
次々とカウンターを合わせていく矢吹。
覚悟を決めたように貰いながらも前へ進むタノンサックだったが、
右ストレートでグラつくと、矢吹が連打を叩き込み、リングに崩れ落ちるタノンサック。

レフリーは試合を即座にストップ。


TKOタイムは7R 1分19秒。


タノンサックはライトフライ級のトップグループの選手であることを見せつけたように思う。
ダウンを奪われたラウンド、いずれもダウンがなければポイントはタノンサックに流れていたように思う。
矢吹の強打を受けても、ダメージを感じさせず、勇敢に前に進み続けた。
この強さで22歳…しっかりしたサポートが継続されれば、いずれ世界に届く選手と思えた。


矢吹の勝利者インタビュー、そして退場…。
彼の写真を撮ろうと花道に向かって猛ダッシュするファンも多数。
元世界王者の肩書を持って凱旋した地元のリング。
そこには入場曲に歌われる「ヒーロー」が存在した。

デビュー戦から世界を狙える逸材と言われた男。
新人王戦では大きな実力差を認識しながら、彼に挑んで行った選手がいた。
勝ち続けたわけではない、途中苦しんだ時期もあった。
怪我や難航するマッチメイク、難題にもぶつかった。

階級最強を破った世界王座戴冠の栄誉は、SNSで拡散された切り取り動画でもて遊ばれた。
そして、その栄冠も初防衛かなわずリベンジを許した。

ヒーローの物語が、ここで終わるはずがない。

お披露目の凱旋試合ではない…先を勝ち得る為の世界ランカー同士の決戦。
矢吹は勝ち残った。

この日の試合を見た多くのファンに、また大きな夢を見せたことになる。
もう一度世界へ。

三重でその名を響かせた不良少年は時を経て、ヒーローとしてこの地にその名を響かせる。

 

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